広島県立広島叡智学園で「平和概念プロジェクト」授業を実施しました。

 本講座の草原和博教授と大学院生は,広島叡智学園と共同して同校の総合的な学習の時間にあたる「未来創造科」の単元Global Justiceの授業を開発・実践しています。この取組は、大学院の授業の一環として行われているものです。開発・実践に大学院生が参画することで、大学院生のカリキュラムデザイン力と学習環境デザイン力、そして共同研究の方法論を養うことをねらいとしています。

 単元全体は,AプロジェクトからDプロジェクトまでの4部門で構成されます。Aプロジェクトは2019年11月から2020年2月にかけて実施されました(詳しくは,こちら)。

 Bプロジェクトは,大学院生主導で「平和」を様々な概念から定義するプロジェクトです(平和概念プロジェクト)。直接的な暴力を捉える平和概念から非暴力の中の暴力をみとる平和概念まで6つの視点から「平和」を定義し,自分たちの身近な生活のなかに埋め込まれた平和・非平和な状態を見つけることを目指します。6つの視点は、1回目から順に以下の通りです。
(1)ゲーム理論
(2)紛争解決理論
(3)分配的正義
(4)構造的暴力
(5)ラベリング理論
(6)権威主義的パーソナリティ論


 2020年6月13日にはBプロジェクト5回目を実施しました。この授業は本講座の博士課程後期2年・小栗優貴さん、博士課程前期2年・真崎将弥さん、同・奥村尚さんを中心に「ラベリング理論」の考え方を踏まえながら、「平和」について考えるというものでした。社会の中では私たちが当然だと思っている「普通」がそれに当てはまらない人を「普通ではない人、変な人」として排除することに繋がっている可能性があることや、「普通」は社会的な制度や価値観に基づいて作られているものだということを理解していきました。本実践を通じて、生徒たちは非暴力の中にある暴力を見抜くための一方略として、日頃意識していない「普通」を問い直していくことが必要なのではないかという新たな視点を獲得したようです。以下は、本実践を計画・実施してきた大学院生のコメントです。

 今回の授業は、ラベリング理論をもとに『生徒たちにとっての「普通」が誰かを排除しているかもしれない』という見方を獲得することを目標としていました。日常に埋め込まれている「普通」を見つけ出すことは大学院生の私たちでも簡単なことではありませんが、生徒たちは多くの「普通」を見つけ出していました。今回の授業を通じて、生徒たちの「Peace maker」としての成長に貢献できていれば幸いです
(授業計画者:博士課程前期2年・真崎将弥さん)。

 漫画でみたモヤモヤマーク。これが授業中、子どもたちの頭の上に浮かんでいた気がします。「普通」を問い直し続けた証拠でしょう。授業後には、私自身にも「モヤモヤマークが。「あの授業が本当に良かったのか。」「どうすれば良かったのか。」このモヤモヤを持ち帰り、多様な人と授業について省察していきます (授業実施者:博士課程後期2年・小栗優貴さん)。

 次回の実践で「平和」について考える視点を獲得する段階のBプロジェクトは終了し,全体としては折り返しを迎えます。そして、次はこれまでに学んできた視点を生かしながら、生徒たちそれぞれが主体的に「平和」を作っていく段階に入ります。これからも叡智学園の生徒の「Peace Maker」としての学びを力強く支援してまいります。