本講座の草原和博教授と金鍾成助教,大学院生は,広島叡智学園と共同して授業を開発・実践しています。この取組は,大学院の授業の一環として行われているものです。同校の総合的な学習の時間にあたる「未来創造科」の単元global Justiceの開発・実践に大学院生が参画することで,大学院生のカリキュラムデザイン力と学習環境デザイン力,そして共同研究の方法論を養う試みです。
単元全体は,AプロジェクトからDプロジェクトまでの4部門で構成されます。Aプロジェクトは,金鍾成助教の研究構想に基づいて,2019年11月から2020年2月にかけて,叡智学園の生徒と米国の生徒が「ヒロシマ」の平和と歴史に関してより良い教科書をつくる学習を行いました。両校の子どもが歴史観と教科書記述を相互に交換し,助言・反論をしながら,平和の語り方・ヒロシマの語り方を共同で探究しました。3月末日は,プロジェクトの成果をまとめたブックレットが完成しました。
Bプロジェクトは,大学院生主導で「平和」を様々な概念から定義するプロジェクトです。2020年2月から始まり,7月に終わる予定です。直接的な暴力を捉える平和概念から非暴力の中の暴力をみとる平和概念まで6つの視点から「平和」を定義し,自分たちの身近な生活のなかに埋め込まれた平和・非平和な状態を見つけることを目指します。このBプロジェクトは,2020年3月までに半分が終わりました。5月から残り半分を再開しますが,当面は教室で授業ができません。オンラインの学習環境で平和概念の探究をどのように指導できるか,試行錯誤してまいります。