2023年11月27日(月)~11月29日(水)にかけてオランダのズウォレ(Zwolle)で開催されたWorld Association Lesson Study 2023(以下,WALS 2023)にて,本コースの草原和博 教授,川口広美 准教授,金 鍾成 准教授,露口幸将さん(博士課程前期1年)と私(田中崚斗(博士課程後期1年))が発表を行いました。
私たちは,“Discussing Together, Growing Together: A Case of Together Educators and Pre-service Teacher Educators’ Border Crossing in lesson Study”(「共に議論し、共に成長する: 教師教育者と大学院生の境界を越えた授業研究を事例に」)を発表しました。2023年5月11日(木)と12日(金)に韓国で実施した授業研究を,教師教育者やその卵である大学院生の学び・成長の観点から捉え見えてきた「国や専門分野の垣根を越えた授業研究が持つ役割や機能」を発表しました。この発表は,「授業研究を軸とした教職の高度化に関する国際共同研究プラットフォームの構築(研究代表:吉田成章先生)(JSPS 科研費22H00080)」の一環として行なったものです。
この研究発表をするまでの過程で,(1)将来の教師教育者としての学び,(2)国際学会に参加したことでの学び,を得ることができました。
まず(1)として,社会科だけでなく音楽や体育,教育方法学を専門とする教師教育者や大学院生と議論することで,今まで自分が持っていなかった授業の見方や考え方を獲得することができました。一般的に大学生や大学院生は,自分と同じ専門分野の教師教育者の授業研究に参加し,その教師教育者の背中から授業の見方や考え方を獲得します。それによって当該の専門分野における授業の見方や考え方を獲得することはできますが,それをブラッシュアップさせたり,新しい見方や考え方を獲得したりすることが難しくなることもあります。そこで,今回,異なる専門分野の教師教育者や大学院生と議論したことで,自分の専門分野における授業の見方・考え方の特質や課題に気づくだけでなく,改善する方向性も認識することができました。
次に(2)として,世界の教師教育者と議論することで日本の授業研究における特質や課題に気づくことができました。日本の教育において授業研究は当たり前に存在する,いわば空気のようなものです。しかし,世界の教育では授業研究することは当たり前ではありません。このような文脈の違う研究者同士で授業研究について議論することで,これまで見えていなかった日本の授業研究の新たな側面に気づくことができました。
最後になりましたが,本研究に一緒に取り組んで頂いた共同研究者の皆さまに御礼申し上げます。
(執筆:田中崚斗)