「比較カリキュラムデザイン発展研究」の成果発表を行いました。

2023年3月1日(水)に、「分断された社会に対応する歴史教育とは何か?——Shared Histories for Europe without Dividing Linesの場合——」を表題として、大学院の授業である「比較カリキュラムデザイン発展研究」(川口広美准教授担当)の成果を、オンライン・対面併用のハイブリッド形式で発表しました。また、全体講評として、奈良教育大学の橋崎頼子先生をお招きし、ご指導・ご助言をいただきました。(開催予告のHP記事はこちら

2022年度の「比較カリキュラムデザイン発展研究」の講義では、欧州評議会(CoE)が作成・出版した歴史教育プロジェクト「Shared Histories for Europe without dividing lines」の分析を行ってきました。

当日の発表は、①近年、顕在化・先鋭化している国・民族・文化集団間の分断状況と日本の歴史・国際理解教育における先行研究、②CoEにおける歴史教育の位置付け、③「Shared Histories for Europe without dividing lines」が開発された背景・目的、④開発されたカリキュラムの具体と特質の考察、⑤分析したカリキュラムの特質から導かれる日本の歴史教育への示唆、の順に発表しました。

発表後には質疑応答の時間を設け、参加者全員で、活発に議論を交わしました。

参加者からは、「このカリキュラムを通して、学習者が本当に“和解”を達成できる力を身につけられるのか、何を到達目標としているのか」「内容構成を“社会史”にしていることが分析したカリキュラムの特質であるとしているが,内容構成を“社会史”として断定することは妥当なのか?歴史学の研究動向や分野の関連性をもっと厳密に議論する必要があるのではないか?」「これを東アジアにおける共通歴史カリキュラムを作成する際に援用することは可能なのか?」「東アジアにおいて共有された/共有可能な価値とは何なのか?また、それは学習者に対してどのように理解させることが可能なのか?」といった問いが、発表者に対して投げかけられました。

最後に橋崎先生からは、これまでの欧州評議会による市民性教育政策の動向との連続性や、歴史カリキュラムとして欧州評議会が捉える「価値」や「多様性」などを教える方法の論理を明らかにした意義などについて、コメントを頂戴しました。

今後も当日にいただいた指摘や議論の成果をもとに、さらにカリキュラム分析を精緻化しつつ、分析したカリキュラムに見られた「多面的な歴史」や「共通の歴史や価値の認識」の考え方を手がかりに、日本の社会科教育・歴史教育に対して提示しうる示唆を追求していきます。

発表者:岡井美咲希、首藤慧真、正出七瀬、村上遥大、村上正龍(いずれもM1)

(M1岡井美咲希)

対面会場での発表の様子
オンライン会場での発表の様子
発表に使用したスライド資料①
発表に使用したスライド資料②
発表に使用したスライド資料③
橋崎頼子先生からのコメント(一部)