大学院生(博士課程後期)の1日 (玉井慎也さん) 2021年度現在

大学院での授業

博士課程後期(いわゆるドクター)では,プログラム共通科目と専門科目の2種類の講義を合計10単位取ることで履修上の修了要件が満たされます。
私は,2箇所の中学校で非常勤講師を務めている関係もあり,オンデマンド開催の共通科目を3つ履修しています。
早めに履修した方が自身の研究にも専念できると考え,博士課程後期1年目の前期に①「普遍的平和を目指して」,②「高度イノベーション人材のためのキャリアマネジメント」,③「人間社会科学講究」を履修しました。
共通科目を履修することで,他の領域のドクターの考えに触れ,改めて自身の領域の専門性に気づいたり,他領域と往還できる点を見出したりできるメリットがあります。
専門科目は,「特別研究」(いわゆるゼミ)を履修しています。
私は,イングランドにおける歴史教育や学習評価について研究しています。
ゼミでは,指導教員・先輩・後輩から指摘や助言を頂き,半年に一度ある他ゼミとの合同研究発表会に向けた準備や論文執筆を進めています。

大学院での生活

「ドクターは忙しいでしょ?」よく頂く言葉の一つです。
確かに忙しい時期もありますが,私は,むしろ博士課程前期(いわゆるマスター)のときに比べて,大学を離れた場所での「自分の時間」を大切にするようにしています。非常勤の中学校に通勤する車内での時間や授業が終わって大学でのTAがある合間の昼寝の時間,1日が終わって家に着いてから映画やドラマを視聴する時間などです。
ただ,1年目の前期は休んでばっかりで,ゼミの準備やオンデマンド講義の視聴が遅れ,論文投稿やレポート作成がギリギリになってしまい,反省しました。
また,スポーツも取り入れないと健康に障るなあと思っています。
「ギリギリを生きるドクター」から「心身ともに余裕のあるドクター」へ。
2年目に向けて,ライフスタイルの改善も図っていきたいです。

大学院進学理由

「一緒に仙台行こう!」この言葉がきっかけです。
私は,北海道教育大学釧路校出身で,学部1年目の秋,当時の指導教員だった藤本将人先生(現・宮崎大学)から仙台で開催されていた日本社会科教育学会へ一緒に行こうと誘われ,先輩とともに苫小牧〜八戸までのフェリーに車を乗せて仙台まで行きました。
私の一番の目的は,牛タンとずんだシェイクを食すことだったのですが,学会に同行し,「研究」の世界が輝いて見えました。
それから,その時に一緒に同行していた先輩の石原ナツミさんが先に広島大学大学院の社会認識教育学講座へマスターとして入学し,その石原さんに開拓して頂いた釧路→広島の道を自分も辿りたいなあと考えるようになりました。
学部3年目の秋には,全国社会科教育学会が広島で開催されており,夜の懇親会の場で棚橋健治先生とお話をさせていただき,棚橋ゼミで学習評価研究がしたいという思いはより強くなりました。
マスターに入学できたあとは,大学院の講義の中で同期とともにカナダ・イングランドの歴史教育や学習評価を中心に研究しました。
研究を深めるために,ドクターでは特にイングランドに注目していきたいと考え,イングランドでM.A.をとった経験もある川口広美先生に指導教員をお願いしました。
ドクター進学の判断は,願書提出の2ヶ月ほど前でギリギリのタイミングだったのですが,研究室の先輩・同期・後輩に応援して頂き,とても良い雰囲気の中,受験できました。
私の大学院進学には,様々な恩師や先輩・同期・後輩との出会いがあり,どれも欠かせない自分史の一部です。
今後,そうした方々への恩返しも込めて,研究をじっくり実らせたいと思います。

大学院進学を考える大学生に向けたメッセージ

「大学院には行きたいけど,お金もかかるし,遠いし,同期は就職するし…。」今,このホームページを見に来て頂いた進学を考えている方の中には,進学確定100%ではなく,どうしようか迷っている,という方もいらっしゃるのではないかと推察します。
私も,上で書いたような「進学意欲」はあったものの,英語力や研究力の不安,北海道からの移転,学費や研究費の問題などで「進学諦観」に陥る時期もありました。
特に,広島大学の外部から進学を考えている方には,漠然とした不安も多いのではないでしょうか。
そうした方には,機会が許せば,ぜひ広島に,そして社会認識教育学講座に一度訪問してみることをオススメします。
私も,広島に伺った際は,先輩とお好み焼き屋さんに連れて行ってもらい,研究室紹介や大学院生の生活について直接伺ったり,試験に出題されそうな最新トピックを教えて頂いたりしました。
今は,オンラインのSNSツールもたくさんあるので,ネットワークを作ったり情報を収集したりすることは昔に比べて困りませんが,生の景色や研究室の雰囲気を見ると「やる気」のバロメーターは一気に上昇すると思います。
やる気だけでなく,「お金」の問題も進学判断の基準の一つだと思います。
ただ,最近は奨学金の返還制度や大学での研究費助成プログラムが充実してきているので,ひたむきに研究成果を作り,その成果を社会貢献のために還元していく取り組みを進めることで,結果として「お金」問題も解決されることがあります。
様々な悩みの中にあると思いますが,入学後の充実した研究環境をイメージトレーニングして,現在の学部やマスターでの研究をどんどん進めて頂ければなと思います。一緒に研究や議論をするのが楽しみです。
広島の地でお会いしましょう。

1日のスケジュール