大学院生(博士課程前期:社会科教育学)の一日 (瀬戸康輝さん) 2013年現在

福岡県出身 小倉高校卒

瀬戸さんは、毎日どのような生活をしているのですか?

大学院の講義が一日に1つか2つあり、それ以外の時間は講義の中で発表する資料の作成や文献講読などを行っています。先生方の講義や大学の事務作業を手伝ったりもしますね。もちろん、修士論文を書き上げるためにも、ゼミで教授に指導を受けながら、自分の研究も進めています。

そして学費を稼ぐためにも土日はアルバイトをしているので、忙しい日々を過ごしています。

大学院では、どのような授業をとられているのですか?

私は大学院で大きく2種類の授業を受けています。1つは社会認識教育に関するもので、日本の授業記録を分析したり、アメリカなど国外の社会科教育のカリキュラムを様々な文献に当たりながら調査したりしています。大学院の授業は、学生が主体であり、自分が分析したものをまとめ、教授や他の院生に報告し、それに対して全員で議論していくという形式になっています。

もう1つは、私が所属する教職高度化プログラムにおいて行われるもので、生徒指導などの在り方について、専門家である先生方から理論を学び、それをどのように実践していくかということについて他の院生や現職の教員たちと議論したりしています。

高度化プログラムでは、どのようなことをしていますか?

高度化プログラムでは、先に述べた授業の他に、他の研究プログラムとは大きく違うところがあります。それは、実際に広島大学の附属校や県内の公立校に赴き、子どもたちの前で自身が開発した授業を実践し、その有効性を検証するという「アクションリサーチ」を行っていることです。学部の時に行った教育実習とは違い、自分が構築した授業理論にもとづく授業を開発し、実践するため、とてもやりがいがあります。

どうして、大学院に進学されたのですか?

学部の時の教育実習を行ったとき、まったく授業をつくれなかったこと、できなかったことに衝撃を受け、本当にこのまま教師になることができるのだろうかという不安を抱きましたね。その時に、スーパールーキー、スーパーティーチャーの育成を行う教職高度化プログラムを、指導教官である小原友行先生に勧められ、大学院に進学することを決めました。

教育実習を経て、どうすればいい授業ができるのだろうかという問題意識が明確になってから、社会科教育(教科教育学)についてもっと知りたいと思うようになったことも進学を決めた要因の一つです。

今現在、大学院で様々な講義を受けていくなかで、教師になることに不安であった状態から、自分が目指すべき教師像を確立しつつあると実感しています。大学院で学んだことは、今後の長い教職人生においてとても有意義なものになると思いますね。

大学院修了後、どのような教師になりたいですか?

授業を行い、その授業について、いい点・悪い点、うまくいった点・うまくいかなかった点などを反省し、次の授業に改善していくことのできる教師を目指しています。そうした授業改善に有効な手法であるアクションリサーチをいま大学院で勉強しているところです。「いい教師はいい研究者であるべきだ」を座右の銘にしていきたいと考えています。

高校生へメッセージをお願いします。

「歴史の教師になって生徒にたくさん歴史の面白いところを伝えたい」と思っている人がたくさんいると思います。僕もその一人でした。しかし、それだけではよい教師になることはできません。「どうしたら生徒に面白いと伝えることができるのだろう」「そもそも歴史の面白いところって何?」「何のために歴史を教える必要があるの?」こうしたことを考えさせてくれ、さらにその答えを示してくれるのが、社会系コースだと思います。いい社会科の先生になろう、なりたいと思っている人はぜひとも社会系コースに入ることをお勧めします。

大学院への進学を希望している大学生へのメッセージをお願いします。

大学院で学ぶ2年間は、学部の4年間よりもはるかに有意義なものになるでしょう。大学院は、教師としての成長を支える土壌を耕すものになります。大学院の2年間で、教師としてより大きく成長できる地盤を確立することができると思います。私がそうだったように、教師になることの不安を、自信にかえてくれる場所になると思います。