大学院生(博士課程後期)の一日 (岡田 了祐さん) 2013年現在

岡田さんは、毎日どのような生活をしているのですか?

午前は、大学院の授業に出たり、先生の授業のお手伝いをしたりしています。午後は、研究や学会の事務作業、中学校での非常勤講師としての仕事をおこなっています。こうした日々なので、毎日夜中まで院生室で研究をしています。

大学院の授業ではどのようなことをしているのですか?

私は2種類の博士課程後期の大学院生向け授業を受けています。1つは、科学文化教育学講究といって、演習形式で発表をして研究の基礎力を身につけるものです。もう1つは、科学文化特別研究という指導教員の先生に論文指導をしてもらうものです。

また、私たちの研究室に所属する院生は、博士課程前期(修士課程)の授業にも出させていただいています。そこでは、後輩の発表に対してコメントをしたり、時には一緒に研究をおこなったりしています。毎日、忙しいですが、とても充実しています。

岡田さんは、博士論文に向けてどのような研究をされているのですか?

そうですね。私の研究は、「社会科授業の分析研究」といったところかな。

こうした研究は、以前からされてきたのですが、私のオリジナリティーは、その分析方法にあります。特に、授業中の子どもの発言や記述などに注目して、GTAという看護学・社会学などで使われる方法を応用して、研究しています。最近は、「村の五年生」という昭和20年代におこなわれた有名な社会科授業を分析しています。

「社会科の授業を通して、実際の子どもはどんな力を身につけたか?」、「その力が、つくまでのプロセスはどのようなものなのか?」という問いを明らかにすることが目的です。これによって、学校現場の先生方が、授業を改善される時に役立つ、方法を提起できればいいと考えています。今は、このような大きな目標に向かって、学会発表や論文投稿など、コツコツと研究をおこなっています。

中学校で非常勤講師として働いているということですが、具体的にお話を聞かせて下さい。

今年は、中学校2・3年生の社会科を担当しています。だから、地理、歴史、公民とまんべんなく教える機会を頂いております。授業をしてみると、自分の言いたいことがなかなか子どもに伝わらなかったり、自分が思ったように授業を進めることができなかったりと日々悩みはつきませんね。でも、一緒に働いている社会科の先生方に、いつも助けていただいています。なんと、その先生方も、広島大学で社会科教育学を学ばれた方たちなんです。

授業のお手伝いもしているということですが、どのような仕事をしているのですか?

これは、ティーチング・アシスタントといって、授業を担当している先生の補助をする役割です。この仕事では、授業で使用する教材作りをしたり、学生のグループ活動を支援したり、先生と一緒に課題の採点をしたりと、いろいろなことを経験しています。

特に、先生と私が力を入れて取り組んでいるのは、レポート課題の評価です。レポートには、受講生の理解度やつまずきのポイントが表れます。そのため、丁寧にチェックすることが、学生に対して効果的なアドバイスをするうえで、欠かせないからです。

大学院への進学を希望している大学生へのメッセージをお願いします。

私は、研究の力がある方ではありませんが、この世界に憧れ、いつの間にか足を踏み入れ、気づいたらドクターにまで来ていました。自分の力不足で悩んだり、研究が進まなくて悩んだりということがあります。でも、研究が完成したときは本当に嬉しいものです。

ですから、研究の世界に興味があるけど、自分には…(向いていないかも)と思っている方がいらしたら、ぜひチャレンジしていただきたいです。その時、新しい生きがいに出会えるかもしれません。