徳島県出身
平日は基本的に大学院生の部屋に来て,研究や講座に関連した業務をしています。今年は4学期制になって少し変則的になりましたが,以前は2コマ(10:30~)に大学院の授業が入っていることが多かったので,それにあわせて大学に来て授業を受け,お昼から夕方までは先生方から依頼された仕事をこなしたり,共同研究やティーチング・アシスタント(TA)の打ち合わせをしたりするのが日課でした。また,学内でTAや情報セキュリティ委員などに関するアルバイトをさせて頂いているので,その関係で昼間は大学院生の部屋以外にいることも多いですね。その後,晩ごはんを食べてから自分の研究を進めて,夜が更けてきたら帰る…という感じでしょうか。休日はカフェなど落ち着く場所で自分の研究を進めたり,掃除・洗濯などの家事をしたり,気分転換に車でドライブに出かけたりしています。
平日は「大学で誰か他の人のために仕事をする日」,休日は「好きな場所で自分のことをする日」という感覚で毎日を過ごしています。
【左】院生研究室の様子。大学院生には,一人ずつ作業できる机と本棚が割り当てられています。
【右】休日に紅葉を見に行った際の一枚。広島は有名な紅葉スポットが多く,毎年紅葉狩りに出かけています。
ふだん受講している授業は,大きくは4つに分けられるでしょうか。
1つめは「特別講義(特講)」と呼ばれる社会科教育系の授業です。社会科教育学を専攻する院生は,原則として全員が同じ特講を受講します。私は履修制度上は参加義務はありませんが,4人の先生方が担当されている全ての特講に都合がつく限り出席し,修士の院生の発表を聞いてコメントをしたりしています。
2つめはゼミです。原則として週1回,指導教員である草原先生のゼミ生が一堂に会して,自分たちの研究成果を発表し,コメントし合います。月に1回の発表では,博士論文研究でつまずいているところを相談して皆さんにアドバイスをもらったり,調査で収集したデータを提示して一緒に分析してもらったりしています。
3つ目は「特別研究(特研)」と呼ばれる,社会科教育の院生・教員による合同ゼミです。制度上はゼミの延長で開催されているもので,半年に一度,全ての社会科教育系の教員・院生の前で自身の研究成果を発表し,コメントをもらいます。特研の場では厳しい指摘が飛び交うことも多く,さながら学会発表のような張り詰めた雰囲気が漂っていて,いつも真剣勝負です。
4つ目は学部生向けに開講されている社会科教育系の授業です。これはどちらかというと「受けている」側というよりも「実施する」側の立場なのですが,1年に1つか2つほど,草原先生の担当されている授業を中心にTAを担当しています。ただ座って聞いているのではなく積極的に前に出て発言したりする機会も多く,学生と先生の間の橋渡し役になれるように心がけています。
他にも,私は個人的に「大学教員養成講座」という授業を履修しています。これは,将来大学教員を目指す大学院生が研究科を越えて集まって,大学教員に求められる力量を磨くという授業です。ワークショップ形式で「ゼミの運営の仕方」や「研究と教育のバランスのとり方」といったテーマについて議論したり,シラバスの書き方や模擬授業といった実践的な演習をしたりしています。普段接する機会のない他の研究科の院生と交流し,自分とは違う領域の研究や教育に対する考えを聞くことができ,とても刺激を受けています。
【左】「社会科教育論」のTAで「映画を題材にした授業案」をプレゼンしている様子。学生にかわって先生の質問に答えたり,TAが授業に関するテーマを独自に調べてきた成果を発表したりと,中々ハードです。
【右】「大学教員養成講座」で「ゼミの運営で起こりそうなトラブル」について発表をしている様子。研究領域が違えば研究や授業についての“常識”も全然違うんだ,ということに気付かされます。
私は広島大学の社会系コースの最大の魅力は「迷うことができる」点だと思っています。ここでは,小学校の先生から大学の先生まで,世の中で「教員」と呼ばれる幅広い職種につく道が開かれています。また,民間企業や公務員へ就職するなどして,学校の外から教育を考える道へ進むことも大いに歓迎されます。私自身,高校の先生になりたいと思いながらこのコースに入学し,中学校や民間企業で働くことの魅力も感じながらも,迷いに迷って最終的には研究者として大学の先生になる道を選びました。まだ自分の可能性を決めきれないと悩んでいる高校生の方は,社会系コースで社会科が大好きな友人たちに囲まれながら,たくさんの選択肢の中から本当に自分の進みたい道が見つかるまで迷ってみませんか。
この専攻・専修は日本で一番,社会科という教科について広く深く考えることができる場所だと思います。ここには日本各地,アジア各地から社会科について探究していきたいと意気込む人が集まり,研究について日々熱く語り合っています。現職の先生や社会人経験を経て学びに来られる方も多く,私も彼らの話を聞くととても刺激を受けることができます。社会系コースから進学したいという方も,大学院からこの専攻に進学したいと希望されている方も,「学び足りない」という気持ちをお持ちの方であれば,きっと充実した大学院生活を送ることができると思います。
その他,私の具体的な研究テーマや将来のビジョン,大学院に進学した動機などについては,別の機会に記事にして頂いたものがありますので,もしよかったらこちらをご覧いただけると嬉しいです。