広島県出身
大学院では専攻である社会科教育学に関する授業を多く履修しています。社会科教育学の専門的な内容や研究方法について指導を受けています。また、内容学の授業(地理や公民などの教科の専門に関する授業)もありますし、教科教育学がどのようなものかを学ぶ必修科目もあります。
今年度、私は社会科教育学に関する授業を4つ履修しています。
1つ目は、社会科教育学の研究の変遷を研究する授業です。この授業は、これまで社会科教育学の研究がどのように行われきて、その研究枠組みはどのようなものかを明らかにするものです。
2つ目は、批判的パトリオティズムを取り入れた中学校社会科の授業を開発し、附属中学校でアクション・リサーチを行う授業です。批判的パトリオティズムについて私たちで研究してきた成果を反映させた授業を開発し、実践し、さらにその省察を行い改善をしていくというものです。
3つ目は、IB(国際バカロレア)という教育プログラムを手がかりに歴史教育への示唆を考える授業です。今回の学習指導要領改訂では、社会系教科の構造が大きく変わろうとしています。IBがこれからの日本の歴史教育の在り方に示唆を与えるのではないかという仮説のもと、IBの歴史科目の枠組みに従って授業開発を行い、その成果を今度の全国社会科教育学会で発表します。
4つ目は、アメリカのNCSSが開発したC3(College・Career・Civic Life)フレームワークを分析する授業です。C3フレームワークは学習者による探究を重視しています。子年度の授業では、C3フレームワークに準拠して開発されたIDM(INQUIRY DESIGH MODEL)を取り上げ、学習者主体の探究を実現するためにはどのように授業をつくればよいか、IDMを手がかりに明らかにしました。
大学院の授業を受けることで、「なぜ社会科を教えなければならないのか?」、「どうすれば良い授業(教育)ができるのだろうか?」、「これまでそして今、どのような社会科教育が求められているのか」ということを考えることができます。これらを問い続ける姿勢が、社会科教師にとって必要な資質と言えるのではないでしょうか。
曜日によって差はありますが、大体1日に1コマ~2コマ授業が入っています。授業自体は多くはありませんが、授業以外の時間は、発表の準備や共同研究の話し合いをしています。大学院の授業は、高校の授業や学部の講義とは異なり、院生が、授業の準備を行います。それをもとに先生や先輩方から、専門的な知識や研究について指摘をしてもらいます。準備がなかなか思い通りに進まず、帰宅するのが遅い日もあります。しかし、学部時代以上に専門領域について深く学ぶことが出来ています。授業を受けるというよりかは、研究を行っています。
時には、研究室の皆さんと遊びに行ったり、ご飯を食べに行ったりします。オンとオフをしっかり切り替えることができ、とても楽しい時間を過ごせます。
また、私は学部時代から継続して塾でアルバイトをしています。稼いだお金で趣味の旅行に行ったり、専門書を買ったりしています。
学部時代とは異なり自由な時間は少ないですが、充実した生活を送っています。
私は教員を志望していますが、学部は教育学部ではなく、文学部で地理学を専攻していました。学部時代は地理学について深く学べ、大変意義のあるものになりました。しかし、進路を模索している時に、そのまま教員になる事に不安を覚えました。正直、教育学については十分に学ぶことができておらず、また、教員になっても何か自分の中に信念を持って職業を全うすることができるのかということで悩みました。そこで、大学院で社会科教育学について学びつつ、様々なことにチャレンジし、自分の目指す教師像を確立したいと考え、進学を決めました。
1つ目は、「なぜ社会科を教えなければならないのか?」、「どうすれば良い授業(教育)ができるのだろうか?」、「今求められている社会科教育とは何か?そして、そのためにはどのような授業が適切なのか?」を追求し続けることができる教師です。教師になったからといってただ授業をこなすだけでなく、常に上記のようなことを考え、向上心のある教師を目指したいと考えています。
2つ目は、他の教師から目標とされる教師になる事です。教師になってからも様々なことにチャレンジしつつ、探究心を忘れずに、日々努力をし、大学院で学んだことを活かしながら、エキスパートな教師を目指したいと思います。
将来社会科の教師になりたい方で、具体的に自身のなりたい教師像が定まっている人もいれば、定まっていない人もいるでしょう。私自身は院から本格的に教育学を学んでいますが、社会認識教育学講座は自身がなりたい教師像に近づくためにどのようなことをすればいいのか、また、将来の教師像を模索することができます。
先生方も親身になって指導をしてくださり、相談にも乗ってくださいます。自分の将来について探究するのにはいい場所であると思います。
学部の時から教育学を学んでいる方もいれば、私のように教師を目指しているものの、学部は教育学部ではないという方もいることと思います。一つ言えることは、どちらにせよ、学部では学べないことを院では学べます。知らないことを新たに学んだり、既に知っていることを深めたりできます。
迷っている方はぜひ一度研究室を訪問してみてください。私たちはみなさんと一緒に研究や学びを行えることを楽しみにしています。