社会系(地理歴史)カリキュラムデザイン論(金鍾成 助教)2018年現在

金先生が担当されている授業のなかで一押しのものはなんですか?

全ての授業に全力を尽くしていますが、初めて社会科教育について学ぶ1年生向けの「社会認識教育学概論」をあげたいと思います。「生徒」から「先生」へ変わるために必要な知識・能力・態度を身に着けることを目指す授業です。

その授業はどのようなことをするのですか?

「社会認識教育学概論」は「良い社会科とはなにか」という問いに対して自らの答えを探す練習とも言えます。1年生であっても、学生は既に自らの小・中・高における社会科授業の経験から上の問いに対する答えを持っています。しかし、それは完全なものではありません。その問いに対する完全な答えはそもそも存在しません。それを絶えずに考え続けることこそが専門職としての教師に必要な資質・能力であると私は考えます。4年間の大学教育、ひいては教員として勤める期間全体にかけて「良い社会科とはなにか」を悩み続けることになると思います。「社会認識教育学概論」では、模擬授業をとおして良い社会科授業を考える際に役立つ複数の観点(「問題解決型」「理解型」「探究型」「論争問題型」「意思決定型」「社会参加型」)を学び、話し合う場を設けることで、今後の成長のための基礎を培うことを目的とします。

高校生に向けてメッセージをお願いします。

私は韓国の小学校と日本の韓国人学校で6年間働きました。始めて小学校3年生を担当した時、「やった!ついに『社会』を学ぶことができる!」と喜びの声をあげる子どもと出会いました。しかしながら、学年にあがるにつれて、彼らの喜びはいつの間にか「覚えないといけないな」という負担感に変わってしまいました。社会科教師はこのような状況に責任を感じて、子どもの知的好奇心を守ってあげるべきだと考えます。この難しいけれど誰がやらないといけないミッションに参加を希望する人はぜひ広島大学に来てください。