教員になるために必要な地理学の基礎を意識して、学生の教育をおこなっています。
例えば、「人文地理学研究」の授業があります。
人文地理学研究では、日本や世界の都市について、都市の成り立ちや都市構造などを通して、その土地の文化や生活を知り、地域的課題を考えるきっかけをつくります。時には、授業内容に関連させて海外の地理教科書を使って地理学の面白さを紹介しています。
また、授業では海外調査の時に撮影した写真を使ったパワーポイントを利用して、世界のさまざまな都市の様子を紹介しています。地理学に関する知識だけでなく、地理学者がどのようにその地域やテーマについて、研究しているか、あるいはその方法についても知ってもらえたらと思います。それから、ニュータウン見学などのフィールドワークも実施しています。
フィールドワークは地理学を研究するうえで重要な方法です。実際に研究対象の地域に足を運んで、その地域の人々に聞き取り調査をしたり、あるいは地図や本などに載っていない、現地でしか手に入れられない情報を集めたりする作業のことです。もちろん、フィールドワークの前には、調査対象の地域がどのような特徴を持ったところなのかを、統計分析などのデスクワークをして、多面的な見方ができるようにします。
国内外のさまざまな地理的事象を現地で実際に見ることが、地理的な見方を養うことになります。現地に行って体感し、自分の目で見たことを通して、人々の生活の様子が地域によって違いを見せていることを知ることが大切です。
もっと深く地理学・地理教育を学ぼうと思ったり、海外調査に興味をもったら、遠慮なく申し出てください。この数年は、国内なら東京や沖縄、海外ならドイツ、インド、タイ、中国などの調査についてきて聞き取り調査のメモを取るなどの手伝いをしてもらっています。
私の授業で、暗記科目と誤解されることが多かった高等学校までの地理と、テーマを設定して、資料を集めたりフィールドワークをして、自分で地域的課題を明らかにしていく学問としての地理学の違いを感じてもらえたらと思います。そのうえで、地理学に魅力を感じて、教師になったり大学院に進学したりしてもらえばと期待しています。
また、地理学は本や論文に書いていることをまとめるだけ ではなく、そのうえでフィールドに出て自らの足で調べて情報を集めて分析する学問です。しかし、フィールドでの調査がうまくいくためには、デスクワークとして地域情報を事前に分析する必要があります。地域情報の分析は、GIS(地理情報システム)を使ってパソコンを用いた統計情報を分析したり、地図を作成して地域の特徴を明らかにします。フィールドワークは、授業では沖縄に毎年行って調査をします。フィールドワークとデスクワークの両方ができるように鍛えられる場、そして国内外の様々な地域を実際に見聞きできるのが地理学研究室です。