千葉大学教育学部社会科教室にて,小中高の教員養成を主に担当しております。
小学校の社会科をはじめ,中高の社会科教育法,学生の教育実習の指導,大学院生の指導,現職教員の研修指導も担当しており,千葉県内の学校の先生も県の研修制度の下で受け入れています。研究の方は,学部生のときから「ESD(持続可能な開発のための教育)」を研究しており,社会科の中では地理教育を主に,最近ではドイツの地理教育だけでなく社会科についても関心をもち,現地での授業観察などを通しながら研究をしています。
ゼミは社会科教育ゼミとして学部3年生から修士2年生,県から派遣される現職教員を受け入れていますが,ゼミ生の関心としては,地理教育が多い傾向があります。
博士課程修了後は,中々就職が決まらず,一年間は日本学術振興会の特別研究員をしていました。
次年度からは,高等専門学校(高専)で高校相当の社会科目(地理と倫理)を教える教員として働くことになり,ほぼ毎日授業(1日90分×2コマ程度)や部活指導(ハンドボール部副顧問)をしていました。
学校の特性として,将来の進路に技術者を希望している子どもたちが多かったので,専門学科の教員とコラボして,「地理と都市工学」のような授業をしていたこともあります。
高専で1年務めた後は大学に移り,教員研修プログラムや文部科学省の委託事業などに関わらせていただきました。
研究も大切な思い出ではありますが,私の学年が,最も同期が多い学年であったこともあり,ゼミを越えた交流や行事が多く,それが一番印象に残っています。
今でもつながりがある人もいますし,人間関係では特に苦労することもなく楽しむことができました。
ゼミは地理学の由井義通先生に,学部のチューターからポスドク後の受け入れ教員まで10年間お世話になりました。
学部入学時は研究者になる気はなく,高校の地理の先生になる方向で地理学ゼミに進みました。
その理由としては,高校の先生になるなら,社会科教育学も重要ですが内容の専門性に魅力を感じて地理学を選択しました。
研究生活そのものは楽しかったのですが,「博士号を取った後にどうするか」という悩みが大きかったです。
大学教員になろうと決めて,博士論文を書きながら大学公募に応募していたのですが,出すところ出すところから不採用の通知が届き,書類選考で10連敗したときには,さすがに心が折れました。
結果的に,博士号を取った年には就職が決まらず,「これで生きていけるのかな」と思うほどに辛かったです。
中高の社会科の先生になる人には,何らかの専門性をもって現場で活躍してほしいと個人的には思っています。
専門性が指すものには,教科内容に関する専門性も考えられますし,子どもたちに「社会がわかる」ように教えていく社会科教育の専門性も考えられます。
その両方を極めることができるのが,広島大学の社会認識教育学領域であり,その中で自分の専門性を磨きたいと思う人は,ぜひここで学んでいただきたいと思います。
広島大学の特性としては,教員免許取得要件の「社会科指導法」の授業以外にも,「社会科カリキュラム論」や「社会科評価論(当時)」など,幅広く開講されていることのほか,教科内容の専門についても「概論」のみならず様々な専門性を学べる授業を受けることができることに強みがあるかと思います。
(聞き手:博士課程前期1年 野呂航平)