本コースの学生・院生が国泰寺高校のグローバル平和探究「エリア・スタディ」のアドバイザを務めました

やり取りの様子①

2021年2月9日,広島県立国泰寺高等学校の学校設定科目である「グローバル平和探究」に本コースの大学院生と学部生11名が学生アドバイザとして参加しました。先日実施された「グローバル平和探究」の授業観察・授業検討会に引き続き,本日は高校生たちが関心を持った国が抱える環境問題や社会問題の現状やその原因について調査する「エリア・スタディ」が実施されました。国泰寺高校の生徒たちは,世界各地の様々な問題について調査を行い,本コースの大学院生・学部生は,研究や各地域に関しての専門的な知識を持つ立場から生徒たちの調査に対して助言を行いました(当日の様子①②③:個人情報保護のため一部加工)。

学生による助言は,「具体例を明確にするとその国が抱える問題をより深刻なものとして伝えられる」など,生徒の調査をより良いものにするという点からの助言に留まらず,「なぜ,その国の問題を調査するのか」「あなたにとって平和な状態とはどのような状態なのか」という,「研究する」ことの意味や「平和」の意味を問いなおすといった助言も行われました。

できる限り良いコメントができるように、学生はMicrosoft Teamsを用いて、前日までに高校生へのコメントの仕方やコメントの内容を検討しました(やり取りの様子①)。また、当日は、実際にコメントしてみて抱いた葛藤や悩み、例えば「興味があるから調べたいという気持ちを尊重しながら、研究としてなぜその国・問題に注目するのかを客観的に書くよう促すべきではないか」や「質問して気づかせるか、まずしっかりと教えるほうがいいのか」などを共有し、互いに意見を出し合い、良いコメントを目指しました(やり取りの様子②)。

本活動を通じて、大学では「学ぶ側」である学生も、「教える側」として何を言うべきなのか、またどのような言い方が適切なのか、などを考えるなかで、大学での学びを振り返り、「教師」としての在り方を模索しました。そのため、本活動は学生にとって「教師」として多くを学び、考える貴重な機会となりました。

また、生徒が準備してきた以上に、学生はその国や地域、問題について勉強し、相手の論理を読み取り、つまずきそうな点や読んでおくべき文献を判断・コメントするという研究者としての振る舞いを経験しました。

本活動は学生が教え、生徒が学ぶという形を取りつつも、実際には学生も生徒から多くを学ぶこととなりました。3月中旬には研究成果をまとめた最終発表が行われる予定です。それに向けて生徒はさらに研究を進めていますが、それと同時に学生も教師として、そして研究者として一層研鑽していくことが必要である、と感じました。

(文責)博士課程前期:奥村 尚 同:高松 尚平