豪雨災害と防災教育に関する学術雑誌が刊行されました

2020年12月に地理科学学会より地理科学シンポジウム特別号(75巻3号)「平成30年7月豪雨災害から学ぶ―西日本各地の調査報告と防災教育への手がかり―」が刊行されました。本号は,2019年度地理科学学会秋季学術大会で発表された内容を骨子とする11本の論文と,オーガナイザーによる趣旨説明と総括からなります。オーガナイザーの一人は,本コースの熊原康博准教授であり,本コースOBの小山耕平さん(広島市立舟入高校教諭)・弘胤 佑さん(広島城北中・高校教諭),博士課程後期大学院生の岩佐佳哉さんが論文を執筆しています。前半の7本の論文は,西日本の各県の平成30年7月豪雨災害の特徴を明らかにした内容で,後半の4本の論文は豪雨災害を対象とした防災教育の実践を紹介しています。特に防災教育の実践は,2022年度から施行される「地理総合」を意識した先駆的な内容となっています。本号をご希望の方は,地理科学学会事務局(syomu[at]chiri-kagaku.jp [at]を@に代えてください)までお問い合わせください。

■シンポジウム号の論文名と著者
趣旨説明(熊原康博・後藤秀昭)
斜面崩壊の微地形とその形成要因―平成30年7月豪雨による広島県南部を事例に―(竹内 峻・後藤秀昭)
平成30年7月豪雨による広島県南部の建物被害と土砂災害の指定区域(後藤秀昭・山中 蛍)
広島県東広島市における枕崎台風と平成30年7月豪雨災害に伴う土石流分布と被害(岩佐佳哉・熊原康博)
倉敷市真備町における平成30年7月豪雨の痕跡高分布からみた浸水の特徴(丸山雄大・松多信尚・後藤秀昭・中田 高・田中 圭)
平成30年7月豪雨による愛媛県における浸水と斜面崩壊発生とその地形的条件(石黒聡士・川瀬久美子)
平成30年7月豪雨における山口県の斜面崩壊とその背景(楮原京子)
福岡県内の平成30年7月豪雨災害の特徴(黒木貴一)
地域の災害リスクを踏まえた大分県立特別支援学校における教職員の防災・減災意識の現状(小山拓志・土居晴洋・古賀精治)
過去の土石流災害の復元に関する高校地理の授業実践―枕崎台風と西日本豪雨で被災した江田島市切串地区を事例に―(番匠谷省吾・岩佐佳哉・熊原康博)
「地理総合」における防災教育の授業の開発と実践 ―平成30年7月西日本豪雨で被災した広島市安芸区矢野を事例に―(小山耕平・岩佐佳哉・熊原康博)
水害碑を活用した防災教育―歴史学の視角をふまえて―(弘胤 佑)
総括(熊原康博・後藤秀昭)