国土交通省国土地理院の令和2年度測量・地図の感謝状贈呈者に当コースが選ばれました

このたび,国土交通省国土地理院長より令和2年度測量・地図の感謝状を,広島大学教育学部社会系コース地理学研究室(代表者 熊原康博准教授)に対して頂けることになりました。この感謝状は,測量・地図に関する普及・啓発に顕著な功績のあった個人又は団体に対して贈られるもので,当コースへの授与理由は,過去の災害を伝える広島県内の水害碑の調査を先駆的に行っていたこと,令和元年に新たな地図記号として定められた「自然災害伝承碑」の公開において学術的な貢献をしたことに対するものです。

水害碑の調査結果は,下記の3本の論文にまとめております。研究のきっかけは,著者の一人小山耕平さん(現広島市立舟入高校教員)の卒業論文研究で,私熊原が指導教員でした。水害碑の中には明治期の石碑もあり,碑文がすべて漢文で意味がわかりにくいことから,日本史専攻の藤本理志さん(現呉市海事歴史科学館職員)や弘胤 佑さん(現広島城北中・高等学校教員)をはじめ,下向井龍彦広島大学名誉教授の助力を得て現代語に訳しました。また現地調査では,岩佐佳哉さん(日本学術振興会特別研究員,博士課程後期大学院生)だけでなく社会系コースの学生や大学院生にも同行してもらい調査を行いました。それらの成果をもとに,水害碑の立地と災害発生場所との関係を空間的に分析したり,文体・内容などの歴史的変遷の特徴を明らかにしました。

国土地理院のHPはこちら https://www.gsi.go.jp/kohokocho/kohokocho65026.html

【表彰の理由】広島大学教育学部社会系コース地理学研究室は、過去の災害の記録を伝える石碑などを示す地図 記号「自然災害伝承碑」誕生のきっかけとなった広島県坂町小屋浦地区の「水害碑」を含む広島県 内の石碑について、その重要性にいち早く着目し県内 50 基の属性(建立年,碑の縦横比,使用している文字,碑文の内容,文字数)を調査し論文にまとめていた。

その資料は、令和元年に新たな地図記号として定められた「自然災害伝承碑」(令和元年6月 19 日から地理院地図で自然災害伝承碑の情報掲載)の公開において多大な貢献をした。

表彰の対象となった論文(論文書誌情報の末尾のURLから論文のPDFファイルを入手できます)

藤本理志・小山耕平・熊原康博: 広島県内における水害碑の碑文資料. 広島大学総合博物館研究報告, 8号: pp.91-113, 2016.

http://doi.org/10.15027/43829

小山耕平・熊原康博・藤本理志: 広島県内の洪水・土砂災害に関する石碑の特徴と防災上の意義. 地理科学, 72巻: pp.1-18, 2017.

https://doi.org/10.20630/chirikagaku.72.1_1

熊原康博・弘胤 佑・小山耕平・岩佐佳哉: 広島県内の水害碑に関する追加資料と歴史的変遷. 広島大学総合博物館研究報告, 9号: pp.81−94, 2017.

http://doi.org/10.15027/45335