2026年9月9日、広域交流型オンライン学習が実施され、本プログラムの草原和博教授が授業担当者として、熊原康博教授が自然地理学の専門家として、本コース・プログラムの大学生・大学院生が、中継や学校での技術支援、大学本部での運営支援などに参加しました。授業当日は、広島県をはじめ、北海道、神奈川県、長崎県、鹿児島県の小学校および教育支援センター等の子どもたちがオンラインでつながり、小学校31校47学級、計1006名の子どもたちが参加する大規模な授業となりました。
今回は、4年生社会科「自然災害からくらしを守る―1人ひとりの準備と訓練だけで命を守れるか―」をテーマに授業を行いました。子どもたちは、普段行っている避難訓練など一人ひとりの心がけによる備え(自助)、国や県、市町村などによる防災・減災インフラの整備(公助)、地域で過去の災害の記憶を語り継ぐ取組(共助)という3つの視点から、「災害から命を守るためには、どのような備えが大切か」を考えました。



【支援した大学生・大学院生の感想】
今回は、学級の授業支援を担当しました。児童の学びを支援するだけでなく、オンライン授業に必要となるICT機器の接続や操作の支援も行いました。支援に入る際には、子どもたちに何に気づいてほしいのか、そのためには何を子どもたちに伝えるとよいのかを意識しました。そうした中で、授業では震災遺構 仙台市立荒浜小学校からの中継があり、津波による被害の跡が紹介されました。東日本大震災が発生した当時、今回参加した児童たちはまだ生まれていません。そのため、当時を直接経験していない子どもたちにとって、実際の被害の跡を見ながら災害について考える機会は、震災を知り、後世に語り継いでいくことを考える上でも重要なものだと感じました。今回の授業・支援を通して、身近に感じていない災害を後世に語り継ぐことの難しさと大切さを、子どもたちと一緒に自分自身も改めて感じました。今後も、学校や地域がつながり、対話しながら学べる環境をどのように築き、実践していくことができるのかについて考えていきたいと思います。
(博士課程前期2年 上中蒼也)
今回は、東広島市高屋町にある杵原防災カメラと小寺池下の碑からの中継を担当しました。昨年度に引き続き広域交流型オンライン学習の中継を担当しましたが、今回は異なる役割をもつ二つの場所から、防災・減災の取組や過去の災害の記憶を伝える支援を行いました。
杵原防災カメラからの中継では、河川の状況をリアルタイムで確認する設備を実際に現地から紹介することで、一人ひとりの備えだけでなく、地域や行政による取組も災害から命を守るために重要であることを伝えることができたと思います。また、小寺池下の碑からの中継では、過去にこの地域で発生した災害の痕跡を現地から伝えることで、災害の記憶を残し、次の世代へ伝えていくことの大切さを、子どもたちにより身近に感じてもらえたのではないかと思います。
全国各地の教室と現地をオンラインでつなぐことで、教科書や資料だけでは伝わりにくい地域の様子をリアルタイムで共有できることは、広域交流型オンライン学習の大きな魅力だと改めて感じました。今回の経験を、今後の学習や研究にも生かしていきたいと思います。
(博士課程前期2年 赤田拓哉)
今回の授業において,私はCh2の進行を担当しました。Ch2とは,学校に行きづらい子どもたちのために,通常学級での授業(Ch1)を副音声的に解説し,子どもたちの実態に合わせて活動する授業のことです。主にチャットを通して子どもたちとやりとりし,進行します。今回は東広島市教育委員会の方と一緒に支援を行いました。
今回は防災の授業であり,津波の写真などが提示される場面もあり,センシティブな内容になることが予想されました。そのため,その点についての配慮も行いつつ,「命を守るためには 一人ひとりの心がけだけで十分だろうか」という授業の問いについて考えていきました。Ch2では,チャットから授業が展開されていくため,柔軟に対応しなければならない場面が多いことが特徴です。そのため,相方である市教委の方としっかりコンタクトを取りながら,子どもたちの学びがより楽しくなったり,より深まったりするような授業を心掛けて進行しました。
今回の授業で一番印象に残っているのは,Ch1に出演してくださった熊原先生が,Ch1での中継が終わった後にCh2に再び登場してくださったことです。事前に,熊原先生がCh2にも登場してくれることを子どもたちに伝え,チャットで質問を募集。その後,熊原先生が登場した際に,私や教育委員会の方がその質問を代読し,熊原先生に答えてもらうという取り組みを行いました。このことによって,普段は中継を見ているだけであったCh2の子どもたちにも,中継者との対話が生まれ,貴重な経験になったと考えます。
今後は,学校に行きづらい子どもたちにとって,より楽しく,深い学びになる授業にするための工夫や支援をより充実させていきたいと考えます。また,Ch2の進行は,不登校支援について関心がある私にとって非常に貴重な体験となっています。その貴重な体験を生かし,不登校支援についての自らの考えをより一層深めていきたいと思います。
(博士課程前期1年 中西美里)
今回は、FS(フレンドスペース)での支援を担当しました。FSは、学校に行くことに困難を抱える子どもが集まる場であり、幅広い学年の子どもたちが在籍しています。
FSで支援を行う際には、できるだけフランクに接し、子どもが気軽に授業に参加しやすい雰囲気を作ることを意識しています。また、自分から意見を伝えることが苦手な子どもに対して、積極的に質問を投げかけることも大切にしています。
今回の実践で印象に残っているのは、最初は興味を示していなかった子どもが、広島県外からの参加者や中継があることを知り、「面白そう」と参加を決めてくれたことです。授業内の活動にも、子どもたちで協力しながら一生懸命取り組んでくれました。
学校だけでなく、FSやSSRなど多種多様な学びの場にいる子どもたちが、それぞれに合った形で授業に参加できることが、この広域交流型オンライン学習の大きな強みだと思います。今後も、様々な場所での支援を通して、県や地域を越えたオンライン学習の可能性について考えていきたいです。
(博士課程前期1年 梶山彩佳)
今回は、災害現場や自然災害伝承碑からの中継を担当しました。はじめて広域交流型オンライン学習での中継を行いましたが、前日のロケーションハンティングや打ち合わせを十分に行っていただいたことで自分のするべきことが分かり、安心して当日を迎えられました。前日に心配されていた雨も降らずに、大きな問題もなく進めることができました。大学から授業を遠隔支援する大学本部と密に連絡をとりながら行動しました。現地からリアルタイムの中継によって、教科書の写真だけでは伝わらない生の様子を伝えることができ、子どもたちからも良い反応がありました。今回の支援を通して、授業の中で現地からライブ中継を行うという貴重な経験ができ、多くの学びを得ることができました。
(学部4年 長野睦生)