大学院生3名が県立広島高校へ「卒業研究」の指導に行きました。

 2026年3月初旬、博士課程前期1年の上中蒼也さん、坂本大樹さん、私(井戸浩太)の3名で、広島県立広島高等学校における「卒業研究」の指導に協力しました。広島高校では、「総合的な探究の時間」の一環として、生徒が各自で設定したテーマを探究し、卒業論文を執筆する教育活動を実施しています。今回の指導は、高校2年生を対象として、昨年11月の初回指導に引き続き、2度目の中間報告の場として企画されたものです。

 今年度の研究テーマには、生徒にとって身近で切実な課題と、社会的・学術的な論点を接続し、掛け合わせることで、独自の視点から相乗効果を引き出そうとする意欲的かつ挑戦的な研究が多くみられました。また研究分野も、法学、経済学、歴史学、文学、教育学、医学、環境学など、多岐にわたりました。また生徒の中には、11月の初回指導での議論を踏まえて、「自分が一番研究したいことは何か?」について自問自答を繰り返しながら、リサーチ・クエスチョンや研究デザインを練り直してきたケースもみられ、私自身も生徒の報告から、多くの学びを得る機会となりました。

 また大学院生からは、生徒の報告内容をもとに、研究をより深めるためのコメントをしました。私の場合、コメントの内容を、①生徒からの質問への回答、②研究のよい点や更に伸ばすとよい点(研究の特質・意義)、③研究を補強する上で今後検討する必要がある点(研究の課題)の3点に整理して、伝えました。

 特に③について、より具体的には「どうすればリサーチ・クエスチョンをより具体化できるのか」、「どのような研究方法を用いるとよいか」、「その学問分野を研究する上で、どのような見方・考え方を用いる必要があるのか」、「全体的に研究としてどのようにまとめることができるのか」といった観点から、ポイントを整理しました。

 例えば、歴史学に関する研究では、報告内容をもとに生徒と対話する中で、①史料上の「記述」と「解釈」を分けて整理する視点や、②史料の出典を確認し、その信頼性を吟味する視点、③史料に「記述されている」ことだけでなく、「記述されていない」背景も含めて検討する視点などについて、一緒に確認していきました。そして最終的に、今後の論文執筆に向けた見通しを共有することができました。

 今回の「卒業研究」指導では、広島高校の生徒の皆さんが納得のいくまで研究デザインを再検討しようとする姿から多くの刺激を受け、私自身にとっても研究の意味や意義を見つめ直す機会となりました。

 生徒の皆さんは今後、「卒業研究」の個人発表や論文執筆に向けて取り組んでいくことと思います。その際には、周りの仲間や大学院生との議論も踏まえながら、各自の研究をさらに深めていただきたいです。
(執筆:博士課程前期1年 井戸 浩太)

【参加した大学院生のコメント】

 11月に続き、卒業研究指導に参加させていただきました。まとめ学習やレポートとは異なり「研究」を行うということで、様々に思い悩みながら試行錯誤している様子がうかがえ、その中で自分が少しでも役に立つコメントができるよう努めました。また、今回見させていただいた研究の中には、これまで自分が考えたことのなかったテーマを扱っていたり、インタビューなどを通してより深く調査しようとしていたりするなど、非常に興味深い研究ばかりでした。来年度に向けて研究をまとめていくとのことで、今後どのような研究成果が生まれるのか非常に楽しみです。
(博士課程前期1年 上中 蒼也さん)

 研究指導を通して、生徒の皆さんが、自分の関心や疑問を出発点として主体的に研究に取り組んでいる姿がとても印象に残りました。また、前回の指導での議論を踏まえて研究の問いや方法を見直している発表もあり、探究が着実に進んでいることを感じました。生徒の皆さんとの議論を通して、私自身にとっても研究とは何かを改めて考えるとともに、自分自身の研究についても見つめ直すよい機会となりました。今後、それぞれのテーマについてさらに探究を深め、卒業研究が実りあるものとなることを願っています。
(博士課程前期1年 坂本 大樹さん)

付記:本記事の掲載にあたっては、広島県立広島高等学校に内容をご確認の上、ご承諾をいただきました。当日の様子については、同校のホームページにも記事を掲載いただいておりますので、あわせてご覧ください。

○広島県立広島高等学校ホームページ(URL:https://www.hcyuko.hiroshima-c.ed.jp/life/kenhironews/index.html