2025年11月17日(月)、本プログラムを担当する金鍾成准教授が開講している大学院科目「指導・評価法デザイン発展研究」の一環として、アメリカの大学教員3名(Judy Pace 先生(University of San Francisco)、Nancy Patterson 先生(Bowling Green State University)、Shala Mills 先生(State University of New York, New Paltz))と、南アフリカの大学教員1名(Schalk van der Merwe 先生(Stellenbosch University))をお招きし、講義を受講・聴講している大学院生・学部生8名と対談を行いました。参加学生には、日本人だけでなく、中国からの留学生や在日コリアンも含まれており、きわめて多様なバックグラウンドをもつ対話の場となりました。
まずは、アメリカと南アフリカからの研究者に、広島平和記念公園を訪れた感想を共有していただきました。広島の街並みの美しさと原爆ドームの「恐ろしさ」の対比を感じたこと、広島平和記念資料館で抱いた複雑な感情などが語られ、それらを手がかりに「ヒロシマ」や平和について議論を深めました。その過程で、日本の学校教育における国家カリキュラムの役割、そして第二次世界大戦の歴史とどのように向き合うべきかについても、多角的に考える機会となりました。
また、事前の講義で院生が日本・中国・韓国の歴史教科書における「ヒロシマ」の記述を分析していたため、その結果も併せて紹介しました。日本の教科書では複数ページにわたり原爆や「ヒロシマ」が詳細に記述されている一方、中国の教科書ではわずかな記述しかなく、韓国の教科書には原爆に関する項目が掲載されていないことなど、同じ東アジアの国でも語られ方に大きな差異があることを改めて確認しました。続いて、Patterson先生からアメリカの主要3社の歴史教科書を比較し、原爆(A-bomb)がどのように記述されているのか、その特徴をご説明いただきました。
講義終了後には、一部の大学院生とともに広島大学附属小学校(広島市南区)を訪れ、小学4年生の社会科授業を参観しました。海外では授業研究(Lesson Study)が一般的ではないこともあり、来日研究者の方々にとって非常に新鮮な経験になったようです。授業後の協議会では、単元構成や児童の議論における教師のファシリテーションについても多くの質問があがり、国際的な視点から授業研究を深める貴重な機会となりました。
(文責:博士課程前期1年・上中蒼也)
受講生の声
「歴史観が相対化され、『平和』をめぐる対話の価値を実感した」
(博士課程前期1年・長谷川智洋)
本講義を通して、自分がもつ近現代史の見方が少しずつ相対化されていく感覚を得ています。今回は、韓国の歴史教科書における第二次世界大戦期の記述を調査し、これまでの自分の歴史観がさらに広がったと感じました。一方で、その調査内容を英語で発表することは大きな挑戦でした。すべてが海外研究者の方々に十分伝わったわけではないと思いますが、「平和」という共通言語を「困難さ」を手がかりに深く議論できたことは、非常に意義深い経験でした。
「立場性を越えて『自問自答』する対話の力を学んだ」
(博士課程前期1年・井戸浩太)
今回の対話の中で特に心に残ったのは、「広島を訪れた人々の姿から、自問自答する力強さを感じた」という言葉です。私は参加者が二つの意味で「自問自答」する姿を目の当たりにしたと感じています。第一に、「一人の日本人/アメリカ人として」自らの立場性を意識し、歴史をどう受け止めるべきかを問い続ける自問自答。第二に、その立場性を越えて、「ヒロシマの歴史をどのように記憶し、語り継ぐのか」という問いを自らに向ける自問自答です。私自身も、「私」の立場性と「私たち」という共通性の間で揺れ動きながら対話を続けることで、ヒロシマの語りについて深く考える大切な機会となりました。こうした学びを今後の歴史への眼差しに生かしていきたいと思います。



