修士論文の成果を調査協力校の先生方に報告しました

2025年2月5日(水)に私(M2・大岡慎治)は,修士論文研究『社会科ドラマ教育のデザイン原則の提案―社会を「想像」して「創造」できる市民の育成に向けて―』で,調査させていただいた福島県立ふたば未来学園高等学校を訪れて成果報告をしました。

本研究は、誰かに「なってみる」ことで自他や人間・社会を学ぶ教育方法であるドラマ教育を社会科教育に持ち込むことにより,他者のナラティヴ(語り)から社会を「想像」して新しい社会のあり方をナラティヴによって「創造」できる市民を育てる社会科を実践しうることを主張したものです。この研究の中で,私が提案する「社会科ドラマ教育」に示唆を与える授業実践として,同校での「演劇を通して地域の課題を知る」実践に着目しました。

 同校は東日本大震災や福島第一原発事故を背景にして,2015年4月に開校した公立校で,開校以来,演劇の創作や上演・振り返りを通してフクシマの課題に出会い,探究する授業が展開されてきました。同校の授業実践の観察や担当教員へのインタビューを通して,演劇を通した子どもの社会の学び方・つくり方について示唆を得ようと試みました。

 今回の訪問は,2024年7~9月の調査以来で,同校の先生方に修士論文研究の成果報告をしました。報告後には先生方から,以下のようなコメントが寄せられました。

「普段自分たちがやっている授業を理論的に説明してもらえて助かる」

「教科(社会科)の中でどういう風に授業したらよいかを仮説的に示してもらえたことが今後の授業の指針になりそうだ」

「日本史だと,どのような事例で実践できると思うか」

 今回の報告は,社会科教育学にふれる機会が少ない先生方にどのように伝えていくかについて考える機会となりました。それと同時に,社会科教育学(教科教育学)研究が目指す「実践への寄与」という点も実感できる機会となりました。実践と理論を往還することで,よりよい授業や教科のあり方を議論できる場になったと思います。

 改めまして,福島県立ふたば未来学園高等学校の先生方・生徒の皆さま,その他関係者の皆さまに深く御礼申し上げます。

                              (執筆:M2 大岡慎治)