広島県立広島国泰寺高等学校の授業に学生アドバイザーとして参加しました

 2024年2月13日(火),広島県立広島国泰寺高等学校の学校設定科目「グローバル平和探究」に,本コースの大学院生と学部生が学生アドバイザーとして参加しました。参加したのは,単元「エリアスタディ」のまとめに相当する場面です。これまで高校生らは,留学生からの聴き取りをふまえ,世界各地の社会問題とその解決策について継続的に探究してきました。今回は高校生のオンライン成果報告に対して,専門的な知識を持つアドバイザーとして助言を行いました。 

 報告は,「問題点」「原因分析」「課題の解決策」「自らの行動宣言」の4つの部門で構成されていました。発表者は,どのような研究課題を設定したか,取り上げた社会問題の原因は何かなどについて,図表や統計を用いて発表しました。調査の対象国には,アルゼンチン・インドネシア・カンボジア・スリランカ・セーシェル・トリニダードトバゴ・ベネズエラ・モーリシャスなどの国々が含まれていました。発表者は,数名がグループとなって,普段は接することのない国の課題について,調べて報告するだけでなく,「日本に住む高校生の私」だからできること,「10年後の私」だったらできそうなことを,対象国や社会の状況・変化を踏まえて報告しました。それぞれの報告が共有されていく過程で,持続可能な社会や平和な国際社会を構築する上での課題や課題解決のヒントが明らかになりました。 以下,今回の助言に従事した2名の学部生の気づきと感想を掲載します。

① 黒岩佳太さん(B4)の感想

 生徒は,多面的・多角的に各国の問題とその背景について分析を行っており,大学で学ぶ私たちにとっても新たな学びとなる情報が数多くありました。また,解決策についても既存の成果を調査した上で,それらを発展させたり独自のアイデアを付け加えたりして,様々な視点から提案しており,独自性だけでなく実現可能性も兼ね備えた解決策が見られました。さらに,問題の解決に向けた自らの行動宣言では,将来の夢と関連づけながら具体的な形で自分にできることを発表していました。生徒の関心や考える視点を知ることができ,興味をひかれたのはもちろん,将来に対する高い志も感じられ,大学で学ぶ自分自身にとって大きな刺激となりました。 

 短い時間で評価と質疑及びアドバイスを両立させることは難しく苦労しましたが,参加した大学生・大学院生で相互に意見交換をしながら全力を尽くしました。大学の座学では得られない今回の貴重な経験を,今後の研究や教員としての教育に活かしていきたいです。

② 西屋優人さん(B3)の感想

 この度は,貴重なプログラムに参加することができ光栄でした。広島国泰寺高等学校の生徒はグローバルな視点に立って課題を発見し,それに関する持続可能な解決策を個々人が模索していました。そして,堂々と私たちの前で,その成果を発表していました。現在私たちの住んでいる地球で起きている課題に対して何ができるかをしっかり考え,自分の言葉で発表する姿は,本当に素晴らしいものでした。学部生・大学院生から多くの助言を受け取ったと思いますので,さらに研究の精度をあげていただければと思います。 

 私自身もこのようなプログラムに参加することは初めてで,生徒の皆さんの発表から多くのことを学びました。今回,生徒の皆さんの苦労した点,躓いた点を直接聞くことができたので,将来自分が総合的な学習の時間を担当することになった時の参考にしたいです。

 上記の感想から,学生側も高校生の探究授業への支援から多くの学びを得たことがわかります。また,様々な「社会」を対象とする探究はいかにあるべきか,授業における情報機器の活用や外部連携のあり方はいかにあるべきかについても,多くの気づきがありました。僅かな時間ではありましたが交流の場も設けていただき,ざっくばらんに高校生の問題意識に接することができました。 社会系コースでは,このような機会を通して社会系教科のあり方について学部生・院生の垣根を越えて批判的に追究することができます。いただいた機会を大切にしながら,社会科教育に携わる上で必要な技量を向上できるよう努めてまいります。

 最後に,貴重な機会を与えていただいた広島県立広島国泰寺高等学校の先生方,そして懸命に課題に取り組み,たくさんの成果を共有してくださった生徒の皆さんに,心より御礼を申し上げます。

 なお,本活動には,以下の大学生・大学院生が協力しました(所属・学年は実施当時)。

劉 旭(博士課程後期1年),大岡慎治(博士課程前期1年),和田尚士(博士課程前期1年),鬼塚雄人(本コース・学部4年),黒岩佳太(本コース・学部4年),近藤郁実(初等教育教員養成コース・4年),山本 亮介(本コース・学部4年),西屋 優人(本コース・学部3年),住友翔馬(本コース・学部2年)

(執筆: B4 山本亮介,B4 黒岩佳太,B3 西屋優人)

高校生と学生の交流の様子