「比較カリキュラムデザイン基礎研究」の授業成果に関するセミナーを行いました。

 9月5日(火)にWeb会議ツールZoomを使用して、大学院の前期の授業である「比較カリキュラムデザイン基礎研究」(川口広美准教授担当)の授業成果に関するセミナーをオンライン上で行いました。

 当日は、「社会科教育学者たちは熟議民主主義の何を重視してなぜ『教育的加工』を施したのか―熟議民主主義の正統性規準による分析を通して―」を題目としました。発表では「教育的加工」という概念を新たに定義・提案し、これまでの「熟議型」社会科は各社会科教育学者たちが自身の社会観や育てたい市民像のような授業からそれぞれに熟議民主主義論を「教育的加工」して進展させてきたこと、また「教育的加工」によって見えにくくなる部分があり、そこに焦点を当てる必要があることを主張しました。

 本セミナーでは、指定討論者として渡部竜也先生(東京学芸大学准教授)に講評をお願いしました。渡部先生からは、①言葉の定義だけでなく図表を用いて表すこと、②社会科教育学に基づいて「熟議型」社会科を類型化すること、③何のために研究をしているのかを明らかにすることなど、今後の研究の意義づけなどのコメントをいただきました。

 また、突然のお願いにもかかわらず、本セミナーにご参加いただいた井上昌善先生(愛媛大学准教授)からもコメントをいただきました。今回、渡部先生、井上先生をはじめ約20名の皆さんにご参加いただきました。心よりお礼申上げます。

 今後もいただいたコメントをもとに研究を深め、日本の社会科教育への示唆を追究していきます。

 なお、いただいた質問に対して発表者から下記のURLに回答をさせていただきました。多くの質問ありがとうございました。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1J_adxkQvzVkDVvb5lhkFhq-BXBAIgL4GFfMzHQv61NU/edit?pli=1#gid=114322820

発表者:大岡慎治、後藤伊吹、坂本圭、露口幸将、溝口雄介、和田尚士(教師教育デザイン学プログラム・M1)

(執筆:M1 後藤伊吹)

以下、今回のセミナーを行った私(後藤)と和田さんの感想です。

 本セミナーを開催するにあたって、セミナーの内容が今日の社会科教育に対してどのような意義を持ち、何を示唆することができるのか、どのように論じれば良いのかという社会科教育の研究方法の一端を体験することができました。また、本セミナーは企画から運営までM1が中心になって行い、自分たちの手で研究結果を外部に報告するという経験をすることもできました。今後研究を進めていく上で意義のある時間になったと思います。

 より良い研究のため、今回のご指摘を踏まえて精進していきます。ありがとうございました。(後藤)

 お忙しい中、セミナーに参加していただきありがとうございました。個人的には、「私の研究」を「私たちの研究」にする難しさを感じたセミナーでした。誰に、何のために研究を行うのかという根本が問われたセミナーであったように思います。他方、「研究のための研究で良いのか」という議論がありましたが、この点については「私たち」の課題でもあります。なぜ、「研究のための研究は良くないのか(そのような前提があるのか)」といったことを問い直していかなければならないと感じました。

 今回のご指摘を踏まえて、さらに研究を深めていきます。ありがとうございました。(和田)

参加者の皆様との記念撮影
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