東広島市立図書館で小学生向けの自由研究支援を行いました

 2023年7月23日(日),東広島市の小学校3年生から6年生までの10名を対象に,「東広島市地域学習用デジタルコンテンツ-のん太の学び場-活用講座」を開催しました。本講座は,毎年,東広島市立図書館と広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)が連携して実施しているものです。夏休み最初の週に開催してきた恒例行事で,今年で6回目です。「問い」を立てたり,その問いを「のん太の学び場」や図書館の本を活用して調べたりするノウハウを提供しています。

 今年度は,東広島市立中央図書館と安芸津図書館で実施しました。両館をオンラインでつなぐことで,各地の子どもが地元の図書館から参加できる体制を用意しました。進行は,本コースの草原和博教授,本コース修了生の大坂遊先生(周南公立大学准教授)が務め,学習支援員を図書館のスタッフと本コースの大学院生と学部生8名が担当しました。

① 講座の様子

 当日は,13時から16時までの3時間を,およそ1時間ごとに分けて進めました。

 1時間目は,趣旨説明や自己紹介を行いました。「のん太の学び場」の30個のキーワードから「市旗」を取り上げて,デジタルコンテンツの使い方と学び方を指導しました。また,「のんバス」を素材にたくさんの疑問を出し合って,「問い」の立て方も習得してもらいました。

 2時間目は,図書館のスタッフの方より,資料の引用の仕方や著作権の重要性についてお話を頂きました。それに続いて,子どもたちは事前に選んだキーワードについて二人一組のグループで探究を始めました。今年度は「のんバス」「産業団地」「市旗」「とんど」の4つのキーワードに希望が集まりました。子どもが立てた問いの中には,「なぜ「のんバス」は東広島市の一部の場所にしか来ないのか?」や「なぜ東広島市の旗は下がとがっていて2匹の鳥みたいな形をしているのか?」などがあり,大学院生の私も知りたいし,すぐに答えが出せないような高度な問いが見られました。

 3時間目は,探究活動の続きとまとめを行いました。私が安芸津図書館で支援した子どもたちは,「なぜ東広島市には産業団地がある地域とない地域があるのか?」を共通の疑問に設定しました。はじめに探究の進め方について話し合いました。その結果,産業団地がある地域(例えば,安芸津・志和)とない地域(例えば,豊栄・福富)を比べてみることになりました。産業団地に関する本を調べていく過程で,子どもたちは産業団地が少ない豊栄・福富は,線路や高速道路から遠く,産業団地が多い安芸津や志和は,港や大きな道路,高速道路に近いことを発見しました。これらの事実をもとに「運送の便利さが産業団地のあるなしと関係しているのではないか」という結論を引き出していました。

 探究活動が終わると,各グループで成果を発表し合いました。成果物を見ると,場所を比較するだけでなく,変化や起源を調べるなど,様々な方法が採られていることが分かりました。最後に修了式を行い,図書館長と草原教授からご講評を頂きました。参加者には修了証を進呈しました。

② 学習支援を行った大学院生としての感想

 子どもの学習支援をしていく中で,一人ひとり社会認識や関心が異なることを経験として知ることができました。社会科の授業を開発する際には,子どもの関心や生活文脈を考慮することは欠かせません。同じ東広島市内に住む子どもでも,普段地元で見ている景観や家庭で話している内容が異なれば,持っている社会認識は異なってきます。教室内でも同じことでしょう。このようなことを実地に知ることができたのは,多様な地域や家庭から集まってくる本企画の参加者の学習支援に携わることができたからだと思います。

 また,進行役の草原先生や大坂先生が子どもを教える様子からも,“足場かけの方法論”を学ぶことができました。1時間目に調べ方のデモンストレーションを行い,2時間目に問いの立て方のデモンストレーションを行う機会がもてたからこそ,3時間目には子どもが自立的に調査を進めることができたのだと思います。子どもの学びの姿はもちろん,子どもを教える教師の姿からも,沢山のことを学ぶことができました。

 上述のような学びを得ることができる図書館での自由研究支援は,教員を志望する大学生や教育研究に携わる大学院生にとって,非常に貴重な経験であると思います。

(執筆:M2 村上遥大)