アイオワ大学の学部生・大学院生・大学教員とヒロシマについて話し合いました。

 2023年5月25日(木)に大学院の授業である「指導・評価法デザイン基礎研究(担当:金 鍾成准教授)」(以下、本講義)の一環で、米国のアイオワ大学の学部生・大学院生・教員の皆さんとヒロシマをめぐる「困難な歴史」について話し合いました。

 「困難な歴史」とは欧米の歴史教育研究で提唱されてきた概念で、社会のトラウマとなっている歴史のことを指します。日本で言えば、広島・長崎への原爆投下や従軍慰安婦問題が「困難な歴史」の代表例として挙げることができます。本講義では「困難な歴史を扱う博物館ではどのように困難な歴史を扱っているか?」というテーマで探究を進めてきました。

 日米双方にとって「困難な歴史」と予想されるヒロシマをめぐる歴史、議論がはじまる前は私たちも緊張していました。双方に広島平和記念資料館を見学したうえで議論に臨みましたが、議論を終えた私たちの感想は「思ったよりも冷静な議論だった」ということが共通して出てきました。他にも「①私と全く異なる文化的背景を持った方と、②意思決定や価値判断を目的とせず、③私のアイデンティティを踏まえた意見を表出しあう中で、④私の思考・認識・価値観の広がりや深まりを感じる」という4つの点で「人生で初めての『対話』を体験した気がする」といった感想もありました。

 今後の社会科教師・社会科教育研究者になっていく私たちにとってかけがえのない体験になりました。当コースでは、今後も異なる他者との「対話」からこれからの社会科教育について考えていける場を引き続き展開してまいります。

なお、「困難な歴史」については以下の論文をご参照ください。

「困難な歴史」の教育的価値の探究 – 広島大学 学術情報リポジトリ (hiroshima-u.ac.jp)

(執筆:M1 大岡慎治)