2023年5月24日,EVRI主催の広域交流型オンライン学習(中学校)が実施され,本コースの草原和博教授・金鍾成准教授が授業担当者として,本コースの大学院生と学部生が大学支援員として参加しました。今年度から広域交流型オンライン学習の事業は中学校に拡大し,この日の実践は記念すべき第1回目でした。金先生は授業進行、草原先生は支援者を担当しました。
東広島市立志和中学校2クラス44名,同市立福富中学校1クラス11名,同市立豊栄中学校1クラス19名,同市立河内中学校1クラス25名をオンラインでつないで同時双方向の学習を展開しました。
1.授業
授業は中学校1年生を対象に,「社会的な見方・考え方」を習得し活用できること,また見方・考え方を日常生活でも使いこなせることを目標とした2時間授業を行いました。
前半は,河内町内にある「さわやか茶屋(廃校跡を使ったそば屋)」の写真と動画について,「地理的な見方・考え方」を使って問いを立てたり,「教室環境の移り変わり(寺小屋,明治,現在)」の絵と写真に対して,「歴史的な見方・考え方」を使って問いを立てたりする活動が行われました。各学級から提案された問いをジャムボードで共有した後,草原先生が「地理学者」「歴史学者」の視点から,問いを分類していきました。生徒の出した素朴な「問い」を草原先生が地理学や歴史学の視点から整理し意味づけることで,「見方・考え方」の概念化を手助けしていました。
後半は,過去の1万円札3種類について,先に学んだ「地理的な見方・考え方」「歴史的な見方・考え方」を活用して問いを作る活動が行われました。「見方・考え方」を使いこなすことの意義や可能性に気付かせることが意図されていました。
まとめでは,今日学んだ見方・考え方を,普段の生活でどのように使うことができるかを議論しました。生徒からは,直近に開催された広島G7サミットを「社会的な見方・考え方」を使って見てみるとよいのではないかと提案がありました。会場の位置や参加国の変化など,地理と歴史の見方・考え方を使うと,これまで気になっていないことが気になり,見えていなかったことが見えてくることが分かりました。
2.参加の感想
当日は,授業運営のサポートをしつつ,生徒がどのような問いを出すのか,「見方・考え方」を本当に活用できるかについて,実際の子どもたちの姿を通して学ぶことができました。また,公立中学校の教室の雰囲気や授業の様子を知ることもでき,教育に関わる者として貴重な体験ができました。オンライン支援に関してはまだまだ至らぬところもありましたが,大きなトラブルなく終えることができたことは大きな収穫でした。
社会系コースの学生として,「社会的な見方・考え方」を活用する授業について理解を深める良い機会となり,社会科の実践的指導力の向上につながる経験を得ることができました。今後もこのような機会に参加し,社会科教師の資質・能力を高めていきたいと,決意を新たにしました。
余談ではありますが,授業日前日に学生支援員を中心に,「社会的な見方・考え方」を活用した問いの立て方のプレワークを実施しました。その場で私たちが出した問いに比べると,授業当日の生徒の問いがはるかにバリエーション豊かで社会の本質に迫るものであり,子どもの想像力や発想の柔軟性に改めて驚かされました。
最後に,貴重な機会を与えていただいた東広島市立志和小・中学校,同市立福富小・中学校,同市立豊栄中学校,同市立河内中学校の先生方に御礼申し上げます。
本活動には,以下の大学生・大学院生が協力しました(所属・学年は実施当時)。
大学院人間社会科学研究科
両角 遼平(社会認識教育学・博士課程後期5年)
田中 崚斗(社会認識教育学・博士課程後期1年)
岡井 美咲希(社会認識教育学・博士課程前期2年)
𠮷田 純太郎(社会認識教育学・博士課程後期1年)
川本 吉太郎(教育学コース・博士課程後期3年)
教育学部
内田 智憲(社会系コース・4年生)
黒岩 佳太(社会系コース・4年生)
小野 郁紀(社会系コース・4年生)
山本 亮介(社会系コース・4年生)
片岡 望咲(初等教育教員養成コース・4年生)
重野 聖怜(初等教育教員養成コース・4年生)
國重 和海(特別支援教育特別専攻科)
(執筆者 B4 内田智憲)
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