本コースOBの鈩悠介さんが全国社会科教育学会研究奨励賞を受賞しました

2022年10月8日(土)に第71回全国社会科教育学会の年次大会が開催されました。

総会では,本コースOB(2020年度・博士課程後期修了)の鈩悠介さん(現・独立行政法人国立特別支援教育総合研究所・西日本ブランチ広島オフィス)が下記の論文を対象に研究奨励賞を受賞し,受賞への思いをスピーチされました。年次大会はオンライン開催だったため,後日(2022年10月19日),全国社会科教育学会・会長の木村博一先生の代理として事務局長の草原和博先生から鈩さんへ研究奨励賞の賞状が授与されました(写真)。

鈩悠介(2019)「子どもは歴史の何を,なぜ重要だと考えるのか:“Historical  Significance”概念の教室への導入に向けて」全国社会科教育学会『社会科研究』第91号,pp.13-24.

この記事では,私(本コース・ドクター2年・玉井慎也)が知る鈩さんのスピーチに至る秘話を1つだけ記録しておこうと思います。

それは,5分ほどと決められた時間内でのスピーチ内容を実に半年以上も前から苦悩し,構想していたということです。私は,よく鈩さんに誘っていただき,一緒に食事をする機会に恵まれていた院生の一人です。2021年の11月ごろ,お寿司屋さんに行った際,「来年の年次大会のスピーチどうしよう」「何が重要な出来事かどう決めたら良いんだろう」「逆に,何が聞きたい?」などと,スピーチ内容を決めあぐねている鈩さんの姿がありました。色々とアイデアを共有した後,「人生年表でも作ってみようかな」「若い研究者や大学院生向けに自分の経験の中で大切だったこと,今後の研究トレンド的に重要になりそうなことを伝えようかな」など,まさにご自身の研究に因んだ「歴史的意義(historical significance)」を省察し,スピーチ内容やその構成に活用しようとしている姿がありました。ここに,研究テーマと研究者の生き方が交差する瞬間を目にしました。

その後も,10月8日の受賞スピーチに至るまで,何度もスマホにアイデアをメモする様子を目にしました。あの約5分間に凝縮されたスピーチの中には,きっとこれまでの鈩さんの研究人生史の中で最も重要な出来事や人物が登場したのではないかと思います。そして,それを聞いていた学会員も,自身の研究人生史の中で最も重要な出来事や人物との出会いを思い出す機会になったのではないかと思います。

以上,研究奨励賞の受賞への祝辞をエピソードの記憶とともに述べさせていただきました。この度は,本当に,おめでとうございます!!今後の鈩さんの研究の発展を祈念しております。

(博士課程後期2年・玉井慎也)

左が鈩さん,右が草原先生