東広島市・広域交流型オンライン社会科地域学習の準備を進めています

2022年9月8日,草原和博教授・熊原康博准教授・私(吉田純太郎)は,三永水源地(東広島市西条町)の撮影を行いました。

この撮影は,広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)が東広島市教育委員会と連携して実施する「広域交流型オンライン社会科地域学習」(プロジェクト代表者:草原和博教授)の準備の一環として行われたものです。三永水源地とその周囲の様子を,熊原康博准教授のサポートを得て,吾妻子の滝公園上空からドローンを用いて収録しました。空撮した映像は,9月13日に東広島市内の小学4年生を対象に実施する授業「東広島市の水は,なぜ高い,なぜ遠くから?」の中で使用される予定です。

今回の授業でなぜ三永水源地を取り上げるか。それには次の2つの理由があります。

一つは,三永水源地が東広島市にある巨大な水源であるためです。西条町周辺は黒瀬川の上流部にあたり,かつ大きなダムがありません。そのため人口増加を続ける西条町では深刻な水不足に悩まされてきました。一方,町内でも潤沢な水資源を有するのが三永水源地です。そこで,広大な水源地を映像で児童に提示することで,彼らから「西条町が水不足のときは,三永水源地を使えばよいのではないか?」という素朴な認識を引き出すことを図ります。

もう一つは,けれども東広島市は三永水源地の水を使用することができないためです。三永水源地は,第二次世界大戦中の呉市の水不足を解消するために作られました。その経緯から現在も呉市が池を管理しています。したがって,東広島市に所在しているものの,三永水源地の水は「呉市の水」であって「東広島市の水」ではないのです。こうした経緯を説明することによって,東広島市で安定的に水を供給することの難しさを児童に実感させることを図ります。

ほかにも,浄水場や調整池の映像を放映したり,水道局員や地元住民に,そして地理学者(熊原准教授)にインタビューしたりと,今回の授業には見どころが盛りだくさんです。豊富な資料をICTの活用によって効果的に使用することで,子どもたちの学びを支援してまいります。

なぜ東広島市の水道料金は高いのか。なぜ東広島市は水不足なのか。この課題を子どもはどのように探究したのか。詳しい授業の様子は教育ヴィジョン研究センターのホームページにて後日報告します。

(M2 吉田純太郎)