広島市江波山気象館が主催する防災講演会が9月4日に開催され、私(岩佐佳哉)は講師の一人として講演しました。
講演会では、9月17日で77年を迎える枕崎台風、台風への備え、最新の台風観測や予報の方法について講演が行われました。私は、これまで研究をすすめてきた枕崎台風による死者数の調査結果や土石流の分布を紹介し、これらの研究から得られる防災上の教訓についてお話しました。
枕崎台風では広島県で2,169人の死者が生じました(図1)。その9割は土石流によるもので、広島県では6,668カ所で土石流が発生しました(図2)。この数は2018年の西日本豪雨に迫る数です。土石流は沖積錐という土石流がつくる小さな扇状地で多くの死者を出しており、特定の地形で被害が生じやすいことを示しています。沖積錐は、多くの場合土砂災害警戒区域としてハザードマップに示されており、ハザードマップを確認することや過去の災害を知ることで災害に備えることができると考えます。
講演会の後には、参加者の方から当時の話を聞いたことがあると情報を教えていただきました。
枕崎台風についての研究は、広島県民のみなさんに知られてこそ意義があると考えています。今回このような機会を得てお話をすることで、将来の防災・減災に役立つことを願っています。
講演会の様子はニュース(こちら)で報道されたほか、江波山気象館公式YouTube(こちら)で視聴することができます。
(博士課程後期3年 岩佐佳哉)