大学院の授業で東広島市安芸津町のフィールドワークを行いました。

 5月18日(水)に大学院の授業「環境・社会と学習材デザイン基礎研究(社会・地理歴史)」(熊原康博准教授担当)において、東広島市安芸津町周辺のフィールドワークを行いました。

 当日は、三津地区の榊山八幡神社で宮司の行友公明さんのお話を伺い、その後は東部の赤崎海岸のジャガイモ栽培の様子を見学しました。

 三津地区は古来より瀬戸内海の海運の要所であり、多くの人々が往来していました。測量技術が未熟であった時代、彼らが航海の頼りとしていたのは北極星であり、その下にある山に榊山八幡神社が建立されたそうです。境内には瀬戸内海で活躍していた廻船問屋が建立した石灯籠が存在し、瀬戸内海で働く人々を見守る存在であったということを窺い知ることができます。また、三津地区は日本酒の軟水醸造法を開発した三浦仙三郎の故郷であり、境内では三浦仙三郎の像や地元の蔵元が建立した酒樽を模した石造物を見ることができます。

 20世紀に入ると、三津地区にも戦争の足音が迫ります。海軍工廠が立地し、海運の要所は日本軍にとっての要所に姿を変えました。榊山八幡神社の境内にも陸軍の依頼によって建立された顕彰碑や任地に出征する地元軍人らによって神楽殿が建立されたことを記録した石碑が見られます。

 広島大学のOBでもある宮司の行友さんは、ご自身の体験を織り交ぜながら榊山八幡神社の歴史について私どもに詳細に教えてくださり、14代目宮司・耻堂(ちどう)についてのお話の際には彼がしたためた書を見せてくださりました。「丹念に言い伝えや文献を再構成し、伝統文化を研究、継承していくことが大切です」と語る行友さんの探求心に、私どもも研究に向かう姿勢を改めて振り返らねば、と身が引き締まる思いでした。

 後半は赤崎地区のジャガイモ畑を見学しました。赤崎地区は安芸津町の東部に位置し、鉄分を多く含んだ赤土を用いた海岸線沿いでのジャガイモ栽培が盛んです。5月から6月にかけてジャガイモの白い花が畑一面に咲き誇り、瀬戸内海と緑に萌える畑のコントラストに彩りを添えます。私どもは研究等で活用するドローンを用い、瀬戸内海とジャガイモ畑を空中から撮影し、赤崎海岸の独特な土地利用の様子について学びました。

(M1 木村海斗)