2021年度,社会認識教育学領域では4名の大学院生が博士課程後期を修了し,「博士(教育学)」が授与されました。
おめでとうございます。修了された方々の声をご紹介いたします。
《中村光則さん》
現職で博士課程後期へ進学し、9年間かかり51歳になりましたが、この度修了することができました。その間、県教委事務局、県立高等学校、県立教育センターと異動し、特に指導主事の期間は忙しすぎて研究が進まない時期もありました。働きながらの論文執筆は確かに大変でしたが、学校現場や教育行政に活かせる部分も多く非常に役立ちましたし、その延長線上にある学位取得の達成感は半端なく大きなものでした。
現職でベテランの年齢での挑戦でも新たな景色を見ることができます。ぜひ多くの方々にも挑戦していただきたいと思います
《守谷富士彦さん》
東京都立高校で教員をしておりましたが,意を決して退職し,博士課程に進学しました。その決断ができたのは,以下の条件が揃っていたからです。
・修士課程の研究で興味が広がり,チャンスがあれば博士課程進学を望んでいたこと
・広島大学教育ヴィジョン研究センターの仕事があり,金銭面の不安を解消できたこと
・仕事のプロジェクトを研究にできる環境があり,それに興味があったこと
・信じることのできる指導教員に出会っていたこと
私のようにフルタイムで働きながら博士課程を学ぶ場合は「長期履修制度」があります。私は4年間の長期履修生として博士課程を学び,修了しました(最大6年間,途中で期間短縮可)。平日の授業には出られないため,夕方や土日に指導教員と個人ゼミを実施し,研究の発表や相談をすることが基本となります。コロナ禍ではオンラインで実施する授業・ゼミ・セミナーも増えているため,遠方在住の方でも柔軟に参加できると思います。大学院の学び(特に文系)は孤独に本を読むようなイメージが強いと思いますが,全く違います。授業,ゼミ,プロジェクトの会議,共同研究,日々の院生室,いつでもどこでも他者と共に議論,協力しながら,研究を進めることができるのが,本大学院の魅力です。
《宅島大尭さん》
去年と同じ授業をやっている自分。もっと良い授業をつくりたいのに、それに時間をかけられるのは他のすべての仕事が終わった後。そんな自分の実践を根本から見直すことができた3年間でした。博士課程後期で行う研究は決して楽なものではありません。それでも現場経験のある先生方がここで研究を行い、それを現場に持ち帰ることが、次の時代を担う子どもたちの育成には欠かせないと思います。
私自身は教員を辞めるという選択をしましたが、働きながらあるいは休職など、いろいろな選択肢がありますので一度検討されてみても良いと思います。
《小栗優貴さん》
私は,一般的に「ストレートドクター」と呼ばれる存在です。他県の国立大学(学士・修士)を卒業・修了後,専任の教員経験を経ることなく,広島大学大学院(博士)に学びに参りました。
この社会認識教育学領域では,
① 研究者として,
② 教師教育者として,
③ 教師として,
成長することのできるシステムが構築されており,温かさと真剣さを持って指導してくださる先生方がいらっしゃいます。私は,上の3点に対応して,
① 自身の博士論文,教科書分析の共同研究,小学校地域学習や定時制高校の主権者教育のプロジェクトを企画・担当する
② 教科に関する指導法のティーチング・アシスタントや免許更新講習補助を行う
③ 附属中学校・公立高校・中学校で非常勤として社会科を教える
という多様で深い経験を積むことができました。ストレートで学んだ私にとって,今後の人生の「のびしろ」を作ることができました。全ての先生方に御礼申し上げます。