9月11日(土)に,広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」によって,第90回定例オンラインセミナー「政治的中立性をめぐる日本の教師(1) 日本の学校で論争問題を扱うには? ―ヘス『教室における政治的中立性』を踏まえて―」が開催されました。本セミナーは,社会系コースの教員である川口広美准教授が,科学研究費_若手「社会科教師は論争問題をどのように捉えているか―「政治的中立性」との関係から」の研究公表の一環として実施しました。セミナーには,ファシリテーターとして博士課程後期の玉井慎也さん,博士課程前期の田中崚斗さん,野瀬輝さん,𠮷田純太郎さんが参加しました。また,博士課程前期の神田颯さん,学部生の岡井美咲希さん,河野秀隆さん,正出七瀬さん,武市実香さん,松本理敬さんが討論者として参加しました。
当日は,課題図書としてHess, D. (2009) Controversy in the classroom(渡部竜也,岩崎圭祐,井上昌善監訳(2021)『教室における政治的中立性』)を取り上げ,4つのグループに分かれて議論を深めるという形式で行われました。討論者やファシリテーターは,「自分が考える論争問題学習とは,どのようなものか?」「日本で論争問題学習を行う際の課題は?どのように進めたらよいか?」について,他大学の大学院生や学部生と活発に議論しました。
更に,当日の司会は,コース教員の川口広美准教授と井上昌善准教授(愛媛大学),コメンテーターを渡部竜也准教授(東京学芸大学・本コースOB)・草原和博教授が務めました。司会の先生方からは,論争問題学習の定義や重要性、学校教育で行うことの意味を,コメンテーターの先生方からは,出版に至った経緯や意図,論争問題学習に関する時代背景及び問題提起を,ご教授いただきました。
本セミナーの詳細を示したEVRIのホームページはこちらです。
以下,本セミナーに参加された大学院生・学部生のリフレクションです。
議論に開かれた話しやすい雰囲気のセミナーでした。「何を持って政治的に中立的であると言えるのか」や,「主題は子どもに近くあるべきか,離れたものであるべきか」など,これからまだまだ考え続けたい様々な意見や問いを見聞きすることができ,主題・環境双方から,有意義な論争問題学習への示唆を得ることができました。ありがとうございました。
(広島大学 社会系コース 学部生)
社会科教育を専門にやっていて,よく「熟議」という言葉を耳にするので,本セミナーに参加してみました。授業で扱われる論争問題にはどのような類型があるのか,そもそも議論にはどのような良さ(問題点も)があるのか,について考えるきっかけになったと思います。また他の学生と意見交換してみて新たな発見もあり,良い機会になりました。
(広島大学 社会系コース 学部生)
本セミナーの討論で,同世代の仲間たちと論争問題学習に対する志や不安を共有することができた。異なる志や不安に触れることで,自身の教育観が再構成されていくのを感じた。このような場が今後も多く設定されて欲しいし,公開型であることの価値・意味も考えたい。
(広島大学大学院 人間社会科学研究科 大学院生)
本セミナーを通して,これからの社会科教育を担う者として,論争問題学習に対する認識や考えを豊かにすることができました。また,多くのオーディエンスに見守られる中で,自身の考えや主張を発信する意義を学ぶ格好の機会にもなりました。
今後とも,他大学・他学問の方々とつながりを持ち,学問発展に寄与していきたいと思います。
(文責:田中崚斗,野瀬輝)
ファシリテートする大学院生1 ファシリテートする大学院生2 ファシリテートする大学院生3 ファシリテートする大学院生4
渡部先生(東京学芸大学・本コースOB 草原先生 川口先生