郷曽地区と吉川地区の境界へ巡検にいきました

6月20日に大学院の授業「地理認識内容学特講」(担当:熊原康博准教授)で東広島市八本松町吉川と同西条町郷曽の境界を対象に巡検を行いました。これまでの研究により、郷曽にある柏原地区は河岸段丘上にあり、そこで水田をおこなうためには遠くから水を集める必要があり、水を得るために大変な困難があったことを知りました。それを象徴する1つとして現在は放棄された用水路が挙げられます。これは柏原地区の水源である深道池まで等高線に沿ってぐねぐねと掘られた用水路です。

今回の巡検の目的は「放棄用水路へ水を取り入れる荒谷川の源頭部において、さらに放棄された用水路が残っているかどうか」つまり「源頭部において、本来吉川地区へ流れる水を奪って、柏原地区へ引き込む水の横取りが発生しているか」を確認することでした。結果として、源頭部において用水路の痕跡は確認できませんでしたが、「郷財」と刻まれた石標や「吉六十八」、「吉六十九」と刻まれた石標を、集水域の境界で確認することができました。これらはそれぞれ「郷曽財産区」や「吉川地財産区68,69番目の石標」の略称と考えられます。これにより、水の横取りが発生し得るような状態はなく、石標により吉川と郷曽の水系の境界を明確化させる意図があったことを確認できました。

また、今回の巡検ルートでは鞍部の尾根道と谷道、林道の等高線沿いの道というように、山地の地形と道の関係のタイプがいくつかあることがわかり、地形の学習を実際に体験する場所として最適であると考えられました。

(M2 冨田大智)