社会認識教育学概論 (池野範男 教授) 2013年現在

池野先生が担当されている教育学部の授業のなかで一押しの授業を教えてください。

他の先生と一緒に担当しているのですが、社会認識教育学概論は力を入れている授業です。

この授業はどのような授業なのでしょうか?

この授業は学部1年生を対象としています。これまで自分が受けてきた地理、歴史、公民という社会系科目の授業に対するイメージや「常識」を壊していくことから始まります。より良い社会科の授業をするためにはどうすればよいかを考えていくための準備をしていくための授業だと考えています。

複数の先生が担当されていますが、池野先生の授業にはどのような目的がありますか?

私が担当している半数の授業には2つの目的があります。1つ目は、学生たちが将来、教師として授業していく中で、いかに子どもたちの意欲・関心を引き出して、より分かりやすく教えるかを考えさせることです。この社会認識教育学概論の授業では経済を事例に用いています。また、2つ目の目的は本を読みレポートを書くという課題を通し、本全体の構造を理解する力を身につけさせることです。自分たちが教える側になり、実際に授業を組み立てていく時に、このような力は役立つものになります。

池野先生は他にも授業を担当されていますが、授業を通してこだわっていることがありますか?

私は社会科教育の中でも、歴史教育を主に担当しています。歴史教育にはたくさんの方法論があります。その中でも私は、社会問題を取り扱う歴史教育が重要だと考えています。歴史の中の社会問題には、現在に結びつくものがあります。例えば、江戸時代の三大改革と小泉改革とを改革という点で見たときに、国の政治を変えていこうとする動きでは同じものがでありって、そこには共通点があります。歴史上の社会問題と現在を結びつけることで、歴史を単なる事実の羅列として教えることを避けられます。こうすることで子どもたちも歴史を学ぶ有用性や・意義を感じることができると考えています。「どうして日本史をどうして勉強しなければいけないのか」という子どもの疑問に対して、少しでも学んだことが生活に役立つのだということを感じさせられる教師になってもらえるよう、学生たちにアドバイスしています。

池野先生は現在どのような研究をされているのでしょうか?

今はシティズンシップ教育について研究しています。そもそも「社会科は社会認識を通して市民的資質を育成する」という定義があります。そして、社会認識と市民的資質のどちらに重きを置くかで、考える社会科教育の目標が変わってきます。その中で後者の市民的資質を養うことを重視するのがシティズンシップ教育にあたります。

池野先生が考えるシティズンシップ教育について教えてください。

私は、地理や歴史、公民の授業で、知識や理解を目的として授業したとしても、態度や価値も切り離して考えられないのではないかという立場をとっています。それらを総合的に考えることができるのがシティズンシップ教育だと考えしています。2002年にイギリスのイングランドで始まったシティズンシップ教育を調査しながら、日本のシティズンシップ教育を世界に広めていく活動をしています。

最後に受験生に向けてメッセージをお願いします。

私からは2つメッセージがあります。1つ目は、すばらしい先生になりたいなら、ぜひ社会系コースへということです。この社会系コースの卒業生には、中学校、高等学校で先生をされているたくさんのすばらしい先輩がいます。その先輩方のようなすばらしい先生を目指したいという人は、ぜひ広島大学教育学部社会系コースに来てほしいと思います。2つ目は、習ってきた先生以上の先生を目指しましょうということです。この社会系コースで自分をしっかりと磨けば、自分が習ってきた先生以上の先生にきっとなれます。そのためにも、社会科の内容の知識をしっかりと身につけてほしいと思います。