ヒロシマで平和を考える単元デザインに関する書籍を出版しました

 本講座の金鍾成助教と草原和博教授は、ヒロシマを題材に平和とは何かを考える単元デザイン「What is the Lasting Impact of the Use of Nuclear Weapons during WWII in Japan?」を出版しました。この単元デザインは、Brad M. Maguth氏とGloria Wu氏の編集による『Inquiry-based Global Learning in the K-12 Social Studies Classroom』の1チャプターとして掲載されたもので、米国の社会科教師の探究学習を支援するために出版されました。

 本単元デザインは、「第二次世界大戦における日本への原爆投下は、どのようなインパクトを残し続けているか?」という本質的問いへの答えを探す学びの旅とも言えます。子どもの探究を支援するために「第二次世界大戦のどのような出来事が、米国の日本へ原爆使用を導いたか?」「原爆の使用はヒロシマにどのような影響をもたらしたか?またヒロシマの人々はその影響にいかに対応したか?」「慰霊碑の碑文「安らかに眠ってください。過ちは繰り返しませぬから」。過ちを繰り返さないとされている主体は誰か?」という3つの補助的問いも併せて設けられています。1つ目の問いは原爆投下の原因の探究に、2つ目の問いは原爆がもたらした被害とその後のヒロシマの人々の対応の探究に、そして最後の問いは、オバマ大統領の訪問に対するヒロシマの人々と、韓国・中国のメディアの反応の違いに関する探究へと誘います。

 広島平和記念資料館「The last 10 feet」の再デザインは、本単元デザインのハイライトです。本授業に参加した子どもたちは、上記の本質的問いに対する自らの答えを決め、それにもとづいて広島平和記念資料館の「The last 10 feet」をあらためてデザインし、そのデザインの意図を他者に説明します。「The last 10 feet」の展示会では、これまでの探究の成果を発信するだけではなく、他者との話し合いを通して自ら行った探究を振り返り、さらなる探究の視点を得ることも目指します。

 上記の単元デザインは2017年の夏に開かれた「広島創生イノベーションスクール」のサマースクールにおいて実施されました。5か国からの37人の高校生が広島平和記念資料館を媒介として各国のヒロシマの語りを出し合い、平和とは何かを考えました。詳細は「http://evri.hiroshima-u.ac.jp/peaceeducationproject」をご参照ください。